第104話春風に乗る香り

「クンクン・・・」

美紀はしきりに、服についた匂いを嗅いでくる。


「あのさ、何か変な匂いなの?」

よくわからないので、聞いてみた。


「ふぅーん・・・梅の花の匂いだねえ・・・」

「どこのお嬢さんの香りかなあ・・・」

美紀の言葉には、変な「トゲ」がある。


「おそらく梅の花が家にあって、眺めていたから付いちゃったんだ」

思い付く事情を話すが、美紀はなかなか納得しない。


「そういう香りはね、春風に乗って、あちらこちら、行方もわからないよねえ・・・」



こういう場合の春風は、頭痛の元になるようだ。

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