第103話新聞部史の事故入院(5)(完)

解決は、拍子抜けするほど、あっけなかった。

「特別だけれど、日曜の朝9時から店を開けるから、代表者は来てくれ」

マスターからの電話で、担任、クラス委員で柔道部員の里奈、マスターと涼子に声をかけた女子柔道部員のエース美佳、女子レスリング部の涼香、女子空手部のひとみ、野球部エースの良夫も、心配なのか、マスターの店に集まった。


「ああ、あんたたち、もう心配はいらないよ」

マスターの妻、涼子が珈琲を配りながら、マスターの顔を見た。


「ああ、俺もな、その話を隣の美佳から聞いてさ、腹が立っちまってな」

「史君だって、よく知っているしな、珈琲談義をすると面白いしな」

「俺のツテを使って組頭に聞いてみたのさ」

「そしたらな、組頭がとぼけるもんだから、どやしつけたんだ」

「もう、大旦那には報告済みだってな」

「そしたらイチコロ、運転していた若い衆は出頭」

「病院にも手回ししたぜ、大旦那に話して、あの院長もクビだ」

「理事長もひどすぎる、そんなのは教育者として不適格、交代させるってことだ」

「それも、大旦那は動き出しているから、心配するな」

「それから史君は、ギリギリ骨折まではしていない」

「もうすぐ退院できるはずさ」

マスターは、どうやら、いろんな手を使って「始末」を済ませているらしい。


「・・・マスターって何者?・・・そのツテって・・・大旦那って・・・」

あまりの凄さに、店に集まった全員が、あっけにとられてしまう。


涼子がクスッと笑った。

「まあ、あまり深いことはねえ・・・いえないけれど」

「困ったら、マスターか私にね」

「ああ、それから、昼間に喫茶部するから、みんなおいで」

涼子は、もう一言、付け加えた。


「史君も、治ったら日曜日アルバイトしてくれるって」

「あの子もメニュー考えるのが好きだし、それから珈琲と紅茶淹れるの上手だよ」

涼子はそう言って笑っている。


「一挙両得だね、この店にも、私たちにも」

美佳の言葉で、全員が笑っている。




※マスターと史君の話が多くなってきたので、次回から別小説として立ち上げます。

仮の題ですが、「カフェ・ルミエール」を予定しています。

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