第102話新聞部史の事故入院(4)

「とにかく理事長には内緒」ということで、学園内の生徒と教師たちによる、事故当時の聞き込みや、三輪車に乗った女の子とその母への聞き取りが行われた。

特に史から取材を受けた柔道部や空手部、レスリング部、野球部の生徒などが積極的に動いた。


「うん、近所の人達も証言してくれるって」

「一緒に闘いたいらしいよ、心強いなあ」

「自治会長も協力するって」

「女の子と、お母さんも、その組と警察に怒っていた」

「そうだよね、命の恩人だもの、史君って」

様々、心強い成果はあるものの、どうにも理事長が煮え切らない。

「とにかく、史君一人のために、学園を危険にさらすことはできない」

「君たちだって、余計なことを、これ以上しないほうが身のためだ」

「通学途中の事故だけれど、学園としては一切対応しない」

理事長は、結局、どんな事実を報告しても、何ら動こうとはしない。


「結局、御身大切かなあ・・・」

「もう、こんな学園にいたくない」

「何より史君が可哀そうすぎる」

生徒も教師も、ほぼ絶望状態である。


「こうなったら・・・」

女子柔道部のエース美佳が手をあげた。


「え?何?」

「表立っては難しいよ?」

「理事長の態度も強硬だしさ」

いろんな声がかかるけれど、美佳は動じない。


「私、マスターと涼子さんに頼んでみる!」

「隣の家だし」

その言葉に、全員の目が点になった。

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