第100話新聞部史の事故入院(2)

「それがね・・・」

担任は、ある程度事情がわかっているらしい。

そして、その厳しい顔からクラス全員の顔も緊張する。


「通学途中にね、三輪車に乗った女の子が、トラックに巻き込まれそうになっていたのを、史君が助けたらしいの」

「だけど、もうギリギリのタイミングで、女の子は助かったんだけど、史君の足首がタイヤの下に少し残った」


「え?先生!骨折?」

「歩けなくなっちゃうの?」

「可哀そうだよ!そんなの!」

「相手のトラックは?」

聞いていた生徒から次々に質問が飛ぶ。


「うん、幸い軽傷なのか、わからないけど、一瞬は立ったらしい」

「で、相手のトラックに書いてあった社名もわかっていた」

「でも、立ったのは一瞬だけ、おそらくヒビか骨折か・・・」

「・・・で・・・そのトラック、逃げちゃったらしいんだけど」

担任は、まだまだ難しい顔で、説明も順序だっていない。


「逃げたって言ったって・・・社名がわかっているんだから・・・」

担任の煮え切らない態度に不満が募る。


「・・・普通の会社のトラックならいいけれど・・・」

「あそこの・・・組事務所だよ・・・」

「だから、病院だって、警察だって、へっぴり腰さ」

「この学園だって、下手をすると、どんな嫌がらせされるかわからない」

担任の顔は苦渋にみちている。


「・・・でも、許せない!」

「絶対に、許せない!」

「みんな協力して!」

生徒全員が立ち上がった。


そして、その話は、瞬く間に学園全体に広まったのである。

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