第99話新聞部史の事故入院(1)
超美少年にして新聞部の史は、その愛らしさと聞き取りの上手さで、男女を問わず学園内の人気者である。
何しろ、クラス内、廊下を歩く、体育館にいる、グランドにいる、その他どこにいても、史の周りには人が集まって来る。
「こうなるとさ、史君、バレンタインデー大変だね」
「きっと机の上、山積みだよ」
「バレンタインデーはもらうだけなんだけど、ホワイトデーどうするんだろう」
「史君、几帳面だから全員にお返しするよ、きっと、大散財だね」
バレンタインデーが近づくと、そんな心配をする声も聞こえて来る。
「でもさ、やらないわけにはいかない」
「史君の笑顔が大好きだし」
「何か考えると思うよ、きっと」
そんな声も多く、結局、登校前に、史の机の上はチョコレートは山積みになった。
既に、段ボールが数個、必要なほどである。
しかし、史は始業時間近くになっても、姿は見せない。
「ねえ・・・何かあったのかな・・・」
「すっごく不安になってきた」
特に女子高生たちが騒ぐなか、新しい情報も入って来た。
「あのね、2年生の史君のお姉さんも休んでいるって」
「えーーー?やばいよ・・・」
そんな話をしていたら、担任が入って来た。
そして史の机の上を見て、ため息をつく。
「えーっとね、史君、事故で入院したよ」
「退院には、時間がかかるかなあ」
担任の顔は、少し暗い。
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