第77話ジェラシー(2)

「ところでさ、玲奈」

史は、開き直るしかないと思った。

玲奈の真正面に立った。


「何ですか・・・」

突然、目の前に立たれて、玲奈は少しうろたえている。

目線があちこち、明らかに動揺している。

責めには強いが、守りに弱い玲奈である。


「恋愛って何?」

「男と女が相思相愛ならまとまるけどさ」

「今日子先輩がベッタリとか、楽譜貸してくれるとか、それも夜程度でさ」

「どうして危ないって言い切れるの?」

史は、目線を玲奈の目にピッタリと合わせた。


「・・・って・・・危ないって思ったし・・・」

「今日子先輩って、けっこう美人だし・・・割と姉御肌だし、惚れっぽいし・・・」

玲奈としても、精一杯抗弁する。


「でも、それは今日子先輩でしょ?」

「俺の気持ちを聞いてあるの?」

「それで、そんなこと言っているの?」

これで史の追求は、少し厳しい。


玲奈は少し泣き顔である。


「あのね、玲奈」

史は少し声を柔らかくした。


「うん・・・」

玲奈はそれでも、少しおびえている。


「俺はね、玲奈と帰る時が一番幸せなの」

「今日子先輩の場合は、必要に応じてだけだよ」

「ただ、礼儀を尽くそうと思っただけ」

史の話を最後まで玲奈は聞かなかった。


「もーーーー!心配かけて!」

玲奈は史にむしゃぶりついた。


「一緒の時間が増えるから、玲奈も付き合って」

史が耳元でささやく。


「当然です!最初からなんで言えないの!」

玲奈は史のお尻を、思いっきり、つねりあげている。


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