第74話ふくよか美人の芳香さん 団子三姉妹

ふくよか美人の芳香さんは、アパートの隣の部屋。

ふくよかといって、太っているわけではない、とにかく雰囲気が円満で優しい。


芳香さんとは、以前芳香さんの部屋の家具の移動を手伝った時から、時々行き来するようになった。

行き来するといっても、芳香さんの部屋の中のちょっとした力仕事と、それに対するお礼の夕飯ぐらい。

それが恋愛に発展するとか、そんな甘い話も雰囲気もない。


だいたい、最初の家具移動の時に、腰を痛めた芳香さんに「シップはってください」と言われたけれど、言われた自分のほうが引いてしまった。

「割とガッチリした腰だ」とは思ったけれど、単なるシップはりで、アヤシイ気持ちなんて、さっぱり起きない。


芳香さんはふくよか美人の常として、胸も豊か。

ただ、俺の家の家系の女性は、祖母から母から姉から妹まで、全員、その類。

ほんと、ブルンブルンして歩く。

特に夏は暑そうだった。



そんな芳香さんが、用事があるらしい。

直接ノックすればいいのに、ラインで「ちょっと来てください」


芳香さんの部屋に入ると

「あの・・・お汁粉作り過ぎちゃって・・・」


「・・・お汁粉?じゃあ、分けて・・・持って帰るよ」


「やだ、ここで、御一緒しましょうよ」

芳香さんは、キラキラした目をしている。


よくわからないけれど、ふくよか美人芳香さんが可愛く見えてしまった。


でも・・・芳香が万が一彼女になって、姉と妹と並んだら・・・

三姉妹だ、きっと団子三姉妹だ・・・


そんなこと思っていたら、お汁粉で、舌を少し火傷。


「ふふん、持って帰るなんていうから罰!」

「熱めにしたんです」


まあ、笑顔までふくよかなこと・・・







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