第46話鍋料理

美紀が珍しく、もつ鍋料理を作った。

様々な具材が入り、そろそろグツグツとなっている。

なかなか、香ばしい匂いがしてきた。


「それでね、これくらいになったら、お餅を入れるんです」

美紀の顔は少し赤い。

鍋の湯気か、大吟醸の酔いか。


「へえ・・・柔らかくなると、同時に味もしみこむね」

確かに、これはかなり美味しい。

雑炊風にお米を入れるのもいいけれど、お餅のほうが、まろやかで力強い。


「珍しくほめてくれましたね」

「いつも反発ばかりで、ごめんなさい」

妙に素直なのは、お餅なのか酒なのか


「それでね・・・」

美紀の顔が真っ赤になった。


また珍しく声が小さかった。


「私を・・・たまには・・・お餅にしてください」

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