第45話いつもの定食屋
いつもの定食屋に入った。
何しろ高校生の時から部活の帰りに通っている。
「えっと、いつもの」
頼むのは、いつも肉野菜卵炒め。
塩味が絶品、ただ年末仕事が多く、疲れ気味。
少しだけなら胃に入る程度。
「はい、わかりました」
「ご飯は少な目?」
母とも友人の定食屋の女将さんが、確認をしてくる。
「あ、丼じゃなくて、茶碗に少な目にして」
どうやら、丼の少な目でさえ、食べきる自信がない。
「なっさけないねえ・・・若い男が茶碗に少な目?」
「よく、そんなんで、仕事できるねえ」
「大盛ガツガツぐらいじゃないと、迫力ないよ!」
女将さんは、少し呆れながら炒めものを始めた。
すぐに出来上がり、「さあ食べよう」と思った時、この店の娘美佳が店に入って来た。
一つ下で幼稚園からの付き合い、今は女子大四年生になる。
美佳本人は、「両方のお母さんの前でお嫁さんになるといった約束」を絶対に守ると言い張っている。
「そんな幼稚園時代の約束」なんて、ゴメンだけど、美佳は可愛いし、すぐ泣くから「ダメ」なんて言えない。
「あれ?何でお茶碗?」
いきなり美佳は、お茶碗に注目した。
「ねえ、全く情けないって、今怒ったの」
女将さんは、まったくかばう気持ちがない。
「ほんと・・・また顔色悪いしねえ・・・栄養不足?」
「ここにちゃんと通わないからだよ」
「毎日だっていいのにさ」
美佳まで、女将さんチームに加わった。
そして厨房に入っていく。
結局、もう一品
「美佳の特製チゲスープ」が追加された。
何しろ辛いので、お茶碗だと、すぐにご飯が無くなる。
丼は、即座に追加となった。
辛さで口を押えていると、美佳が隣に座って来た。
「気に入った?」
「今度、作りに行くから、合鍵こしらえて来る、だから鍵貸して!」
「心配ない、両方のお母さん公認だしね!」
「そのまま住みついちゃうかなあ!」
メチャ辛いし、口はヒリヒリ、答えようがない。
小悪魔度急上昇中・・・
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