第26話合掌

暑くてたまらない


本当にアイスが食べたくて仕方がない


走っているんだけど なかなか前に進まない


あれ?


履いているのが、どうしてサンダル?


しかもキティちゃん・・・


え?


私?子供?


「ドン!」

誰かにぶつかった。


「あけみ!」

後ろからお母さんの声が聞こえた。

声が引きつっている。


「お嬢ちゃん、アイス?」

「そうか・・・そうか・・・」

派手なサングラス、角刈りの頭のおじさんが目の前に立っている。


「ちょっと待っててな」

おじさんが、ソフトクリームを持ってきてくれた。


「ありがとう、おじさん!」

おじさんは、本当にうれしそうに笑った。



「うわーーー変な夢だった・・・」

「もう・・・20年以上だよ・・・」

首をかしげてPCを開く。


「地域暴力団抗争?」

「地域幹部射殺?」

「写真付きだ」


「・・・あ!」

合掌した。


「おじさん・・・アイス美味しかった」

「ありがとう」

もう一回、ありがとうを言った。

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