第17話 教会メシ
異世界のトイレから――
今日は、教会で出会った素敵な団らんのご紹介です。
♪チャラッチャッチャッチャチャーララー
――――――――――――――――
提 供
カ ク ヨ ム
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♪チャーラー ラー
大聖堂の、本来なら祭壇がある場所にトイレ……?
正面には神聖な神様の像があります。
もしここで用を足したら、神様に丸見えじゃないですかー!
「その通り、神にすべてを見せるという意識こそが大切なのですじゃ。犯してしまった悪事を隠すのは愚かなこと、神はどこかで必ず見ております。ならば隠すのではなく我らが自ずから見せていく、この精神こそ神は望んでおられるのです。日ごろから汚い部分を見せることで、我々人間は成長できるのですぞ!!」
神父さんが熱意をこめて、演説をしてくれました。
隣でのんさんもウンウンとうなずいています。
なるほど、そういうものなのですか……。
BGM ♪♪神もトイレに行くのかな
ふむ、トイレジャーナリストとして、とても興味がわいてきました。
ぜひともこのトイレで用を足している様子を見てみたいですね。
「よろしければ、毎朝おこなわれる礼拝に参加されてみませんかのう? そのときにこのトイレも使用しますでの」
――え、いいんですか?
「村人全員が参加するので、ひとりくらい増えても平気ですじゃ」
――ありがとうございます! ぜひ参加させてください!
しかし礼拝の最中に、どのようにトイレが使われるというのでしょうか。
気になりますが、ここで聞くのはヤボというもの。
明日の礼拝を楽しみにしておきましょう。
あ、でもそれなら、今晩はどこかで宿泊しないといけませんね。
――あの、この村に宿屋はありませんか?
「すみません、宿屋はないんですよ。なにぶんただの農村なもので」
――そうですか。また今夜も野宿するしかないですかねえ。
「それなら、ぜひここに泊まっていってくだされ。迷える子羊を安息に導くための宿泊部屋が聖堂の奥にございます。わしとのんもここで暮らしておりますゆえ、何も遠慮はいりませんぞ」
――えっと、のんさんもそれでいいんですか?
「…………いい」
のんさんはわたしから目をそらすと、こくんとうなずきました。
――じゃあ、お願いします。
というわけで、今夜は教会に泊まらせてもらうことになりました。
夕食は神父さんやのんさんと一緒に食べました。
なんと、のんさんの手作りだということです。
優しい家庭料理の味に、舌鼓を打ちました。
――のんさん、とても美味しいですよ。
「…………殺すぞ」
とてもほのぼのとした団らんですね。
ここ最近は、誰か他の人と一緒に食事をするなんてありませんでした。
なので、とても楽しいひとときを過ごすことができました。
のんさんは、いくつか自分のことを話してくれました。
普段はこの教会でシスターをしていること。
クエストがあるときは、僧侶として冒険に出かけること。
ぽつぽつとした語り口調でしたが、そんな日々が充実しているということが、聞いているわたしにも伝わってきました。
そして、翌朝。
わたしは参列席の1番前に座っていました。
礼拝に来た村の人たちが次々と入ってきます。
そんな中、神父さんとのんさんは礼拝の準備を終えたようでした。
いよいよ――トイレを使った礼拝が始まるのです。
「みなさま、本日もお越しいただきありがとうございます。それでは朝の礼拝を始めたいと思います。まずは黙とうからお願いいたします」
神父さん、昨日のエロじじいっぷりはどこへやら。
落ち着いた声に、神聖な雰囲気をまとっています。
その横には、修道服姿ののんさんも立っていました。
黙とうに続いて、神の書を朗読、讃美歌を歌ってからお祈りへと移ります。
「それでは、神へ祈りを捧げます。皆様もどうぞご一緒に」
神父さんのその言葉と同時に、のんさんはトイレの近くに移動しました。
その面持ちは、いつも以上に真剣な様子。
村人のみなさんも、静かにのんさんを見守っています。
いよいよですね。
あの祭壇のようなトイレで、いったい何が起こるのでしょうか。
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