第15話 かわいい怖いシスターさん

 異世界のトイレから――

 今日は、教会にいるかわいいシスターさんのご紹介です。



♪チャラッチャッチャッチャチャーララー



  ――――――――――――――――


      提     供


     カ  ク  ヨ  ム


  ――――――――――――――――



    ♪チャーラー ラー







 トイレ!?

 今トイレって言いましたか!?

 

 ――ウェイトレスさんが持ってる円形の……?


「それはトレイね」


 ――これで研いだら切れ味抜群!


「それはトイシ? そうじゃなくてトイレよ。ト・イ・レ!」


 き、聞き間違いではなかった!

 ハァハァ(*´Д`) トイレ、ハァハァっ!!

 トイレェェェェっ! 大好きだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!




  BGM ♪♪妄想協奏曲




「ちょっとあんた、だいじょうぶかい?」


 ハッ!? 喜びのあまりつい取り乱してしまいました。

 まさかの展開にビックリしてしまいました。

 偶然立ち寄った村で、まさかトイレをおすすめされるだなんて。


 それにしても、教会にトイレですか……。

 確かに人が集まる場所なので、トイレはあって当たり前。

 でも、何がそんなに特別なのだというのでしょう。


 とりあえず、中に入ってみましょうか。

 おばちゃんたちに別れを告げたわたしは、教会の扉を開きました。


 入口の先は大聖堂がありました。

 ひんやりとした、おごそかな空気。

 ステンドグラス越しに入る日差しは、ほどよく明るくて。

 ゆったりとしたオルガンの音色が聞こえてきます。


「おや、旅の方とは珍しいのう。いかがされましたか?」


 出迎えてくれたのは、初老の神父さんでした。

 清らかさと優しい笑顔とお持ちの方です。


 ――えっと、ちょっと見学させていただこうかと思いまして。偶然この村に立ち寄ったのですが、村人の方々が口をそろえて、こちらの教会は見ておいた方がいいとおっしゃってたんですよ。


「そうでしたか、ぜひ見て行ってくだされ。神もお喜びになることでしょう」


 ――ありがとうございます。


「よろしければ、孫娘に案内をさせましょうか?」


 ――いいんですか? ご迷惑にならなければいいのですが。


「孫はここでシスターをしておるのです。これも仕事の一環ですじゃ」


 ――そういうことなら、ぜひお願いします。


「孫は今、控室で待機しているはず。ご案内いたします」


 神父さんにつれられて、さらに奥へと進んでいきます。

 とある部屋の前で止まると、神父さんはドアを開きました。


「のん、入るぞ。見学のお客様を案内するのじゃ」


 のん……ですか?

 聞き覚えのある名前に、わたしは軽く驚きます。

 その部屋の中に目を向けると――――ぶんっ!!


 いきなりモーニングスターが柄ごと飛んできました!!


 危ない! というかモーニングスターって投てき武器でしたっけ??

 そして…………ゴスッ!!

 それは見事に神父さんの頭にヒットしてしまうのでした。


「ぐはっ」


 神父さんは見るも無残な姿で、その場に倒れてしまいます。

 しばらくピクピクしたあと、完全に動かなくなってしまいました。

 あれ……? これ、ヤバくないですか??


「殺すぞ」


 中から聞こえてくる、女の子の声。

 いや、すでにやっちゃったあとに言われても。

 それよりも、聞き覚えのあるこの声は…………。


 部屋の中には、魔の森で会った女僧侶さん――のんさんがいました。

 クローゼットの前に立っていて、手には修道服を持っています。

 あれ? その服を手に持っているということは……?


 そういえばのんさん、なぜか顔を赤らめているような――


 そのお姿を見ると……身に着けていたのは下着だけでした。

 わたしの目に映るほとんどが、つやのある肌色。

 胸のお山とだいじなところだけは、パステルピンクの布で隠されています。

 フリルがついた、かわいらしい下着でした。実に似合っています。


 こんなチャンスは滅多にありません!

 ジャーナリストらしく、わたしは食い入るように観察しました。

 すると次の瞬間、ドカッという音とともにわたしの頭にモーニングスターがめり込んでいました。


 あ、モーニングスターもう1本あったんですね。

 つーかこれ、ヤバい…………。


「…………こ、殺すぞ(////)」


 だから、やったあとに言わないでくださいよ。

 あ、意識が……。

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