第7話 セクハラインタビュー

 異世界のトイレから――

 今日は、魔の森でセクハラインタビューをします。



♪チャラッチャッチャッチャチャーララー



  ――――――――――――――――


      提     供


     カ  ク  ヨ  ム


  ――――――――――――――――



    ♪チャーラー ラー








「い、いきなり変なこと聞くなよ。なあ……(////)」

「……ウ、ウス(////)」


 男性陣2人も、ほほを染めて気まずそうにしています。

 そこまでデリケートな問題なのでしょうか。

 冒険者のトイレ事情は、奥が深いのですね。


「あにょねー☆ あたしぃたちはトイレ行きたくなるたびに、転移まほー☆で街にもどってるんだにょー☆ あたしぃは別に、その辺でしちゃってもいいって思ってるにょにー☆ ほんとメンドっちいんだにょー☆」


 舌っ足らずな声で、女戦士さんが説明してくれました。

 その辺でって、この方は見た目美人なのに天真爛漫ですねー。


 あ、勇者さんと魔術師さんがチラチラと女戦士さんを見ています。

 なるほど。だから男性2人は恥ずかしがっていたのですね。


 その辺でトイレしてたら、音とか匂いとかわかっちゃうかもしれませんよね。しかもそれが女戦士さんのようなモデルなみの美人さんなら尚更恥ずかしいことでしょう。もしかしたら、女戦士さんが致してるシーンを、偶然目撃しちゃったことがあるのかもしれませんね。これはこれはうらやましいことです。


「……殺すぞ」


 はっ、女僧侶さんの視線が痛い……。

 ち、違いますよ。私は性的に興奮しているわけではないんです。

 ただ純粋に、冒険者の方がどうやってトイレを済ませているのかが気になるだけですから。そう、これはジャーナリストとしての使命に燃えているだけなのです!


 ゴホン。


 ――ええと、しかしトイレのたびに街に戻るのは大変なのではありませんか?


「まあな。そのせいで俺たちの冒険は、街から数時間のところまでしか行けなくなっちまうし」


 ――数時間? 冒険した場所まで転移魔法で戻ればいいのでは?


「転移魔法は街しかブックマークできない仕様なんだよ。だから街まで戻ったら、俺たちの冒険はもう一度最初からだ」


 ――そうなのですか、それは大変ですね。


「そうなんだよ。さっき魔王城でもギリギリまで我慢してたんだけどさあ、それでみんなが動けなくなったところを魔物にやられちゃったんだよなあ。普段ならあんなレベルの魔物にやられるはずがないのによー」


「のんちゃん☆が、転移まほーの呪文を失敗しちゃったんだにょー☆ おトイレがまんしてたからね、呪文の間にあえぎ声が入っちゃっても仕方がないにい☆」


 女戦士さんが女僧侶――のんさんの頭をナデナデしています。

 呪文の失敗が悔しかったのか、のんさんは涙目になっていました。


「俺たちも他の冒険者みたいにその辺で……って思うんだけどな。さすがにもう、のんのトイレシーンにバッタリ出くわすなんてしたくないからよお……」


「…………っ!!」


 ブンッ! ドガァッ!!

 バキバキバキバキッ!!


 のんさんがモーニングスターを振り回すと、勇者さんのすぐ横にあった木にヒットします。その木はへし折れて、音を立てながら倒れていきました。


 なるほど。

 トイレを目撃されたのは女戦士さんではなく、のんさんの方でしたか。

 のんさんは耳まで真っ赤にして、モーニングスターをしまいます。

 そして私を見て、ひと言。


「……こ、殺すぞ」


 はい、照れながらの「殺すぞ」いただきましたー。


 のんさんは何やら本気のご様子。

 しかしすぐに、その殺気は私から逸れました。

 あれ……、何で?



【 じんめんじゅ が あらわれた! 】



 それは私の背後に、魔物がいたからです。

 巨木に人の顔がついたモンスター。


 この木、さっきまで普通の木だったはずなのに。

 いつのまに魔物になったんですかねえ……?

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