シロウ、涙もろいんですか。
俺は動物モノに弱い。子どもが一人で行くおつかいとかにも。どう弱いかと言うと泣きそうになる。動物は犬、馬、あと猫にも弱いし、子どもの一人おつかいとか不安すぎて見てられねえ。
だからレキとメシ(今日はレキが切った肉と俺が切った野菜の炒め物)を食いながら見ていた捨て犬ドキュメンタリー番組が終盤にさしかかったとき、俺の
すばやくティッシュを手に取り、目元を
「シロウ、涙もろいんですか」
バレてた。クソ。気付いてねェふりとかしろよ。それが優しさだろうが。
「は?」
は? なんて強気に出てもさすがにごまかしはきかない。
「あれですか。犬が大好きとか」
モシャモシャ、白菜を
「大好きってわけじゃねーけど」
「でも目が真っ赤です」
……こいつには心ってモンがねェのか? 大の男が子犬のドキュメンタリーで泣いてたらそっとしておくのが優しさであり気遣いなんじゃねェの?
「お前はどうなんだよ」
耐えられなくなって話の
「動物は嫌いです」
「はあっ!?」
大声を出した俺にレキは少しびっくりしたようで、数秒ポカンとしてから、
「
淡々と返す。動物が嫌い? だからこんな悲しいテレビを真顔で見れるのか。にしたって、動物が全部臭いなんてひどい偏見だろ……。
「や、
俺は一般的なペットの
「でも、シロウのそういうところ、子どもみたいでいいと思います」
と俺をフォローした。
……訂正。『おそらく』、フォローだ。しかしフォローベタにも程がある。そんなフォローでいったい誰が救われるんだ。こいつなりに優しさで言ったんだろうけど、
……や、どうだ? むしろこいつのことだから、思ったことをそのまま言っただけ、という可能性もある。
俺は戸惑って、そうとう困惑して、どう返すべきかかなり悩んだあと、素直に
「
と返した。
「改善しておきます」
レキは首を
しかし、改善、な。
……この番組は毎週放送される。予告によると来週は
それはちょっと、まあ、
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