三課の木下さん
三課の木下さんはあまり喋らない。
いつも黙々と何かしら作業をしていて、なるほど雑談なんてしてる暇は無いのかもしれないけれど。
それにしたって黙りすぎだ。
朝廊下でばったり会って挨拶しても、ぺこりと頭を下げるだけ。
急ぎの仕事を捻じ込んでも、文句のひとつも言いやしない。
あっという間に仕上げて届けてくれたときも、控えめに名前を呼ばれただけ。
真面目で信頼できるけれどつまらないひと。
それが木下さんの評価だ。
それに反論することは難しい。当の木下さんだってそう思っているような節がある。
だからこんなの変なんだけど。
私は嫌で。
木下さんは、無口だけど誠実で頼れるひとだよ、って。
私は言いたくて。
ひと言にも満たないような素っ気ない返事が欲しくて。
名前を呼ばれたら嬉しくて。
だから。
今日も
たまたま、ばったり
朝の廊下ですれ違う。
三課の木下さんはいつも黙々と仕事をしてる。
真面目で。信頼できて。ちょっと無口な。
私の大好きなひと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます