神様おねがい

 見上げた空は青くて遠い

 届かないって、分かってるけど



「神様お願いします」



 ぼくは手を伸ばした


 神様なんていない

 ぼくはもう六歳だから、ちゃんと知ってるんだ


 だけど空はとてもきれいで

 薄い雲が静かに流れていて



「どうか」



 もしかしたら叶うんじゃないか、


 って




 どうしてあんなこと言っちゃったんだろう

 本当は大好きなのに



「どうか」



 神様、お願いします



「「仲直りできますように」」




 後ろから声が重なって、

 ぼくはびっくりして振り返った



 神様なんていない

 いたのはさっきケンカしたお友だち

 居心地悪そうにそっぽを向いて立ってる


 ぼくも少しバツが悪くて

 でも安心して


 それから、嬉しくて


 ちょっと涙が出た



「「さっきはごめんね」」



 また声が重なって可笑しくなる



「あはは」



 ぼくが笑うと相手もくすくす笑いだした

 笑いながら近づいて、いつもみたいに並んで歩く




 ぼくはもう六歳だから、

 本当は神様なんていないって知ってる



 だけど

 お願いをすると、ときどき叶うんだよ



 不思議だね


 



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る