　薄暗い廊下は右も左も温かみのない真っ白な壁で、足の下のリノリウムも白い。天井は暗くてよく分からないがきっと白いんだろう。壁には窓も扉も見当たらない。

　そして

　実は自分が今どこにいるのか分からない

　入口は何の変哲もないビルだった。示されたのが四階だったから迷いもなくエレベーターに乗った。

　一階のエントランスは明るく清潔で、四階のエレベーターホールも普通だった。

　右手の廊下をまっすぐ行って突当たりを左。それから三つ目の扉。迷うような道順じゃない。

　けれど。

　突当たりを左に折れたら行き止まりだった。

　実はこういうことはよくある。迷子体質には自信があった。

　たったこれだけの道筋をどこで間違えたのか。頭を掻きつつエレベーターホールに戻る。

　つもりが、

　なかった。

　エレベーターホール、どこ？

　大丈夫。

　こんなこともあろうかとかなり早めに来たし

　平気平気。

　迷うことも織込み済み

　平気

　平……

　……。

　ねえ

　誰か教えて

　ここはどこ？

　今何時なのー⁉︎

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