第二話 第六騎士団
朝から色々と疲れた僕は、いよいよ春らしくなり、ちらほらと桜の咲き始めた街の大通りを愛刀を背中に引っ提げながら よたよたと歩く。
僕の職業は騎士だけどまだ着替えてすらないので、シャキッとする必要はない。罪を犯している人は捕まえるけど…。
でもまあ、この街の人はとても逞しいので心配はしていない。
…下手したら市民の安全を守る僕たち騎士団より犯罪者を捕まえてるんじゃないだろうか。戦闘力はともかく。
馴染みの住民と挨拶をしつつ、僕は街の中心部へと向かっていく。ふと上へと視線をあげるが、見えるのは見慣れた50Mほどあるのかと思うほどの大きな壁だ。本当の高さは知らない。
この街に関わらず、この国の街は基本的に壁に囲われている。
なぜかというと、魔物による被害を防ぐためである。魔物は朝晩関係なく街を襲いに来るので、頑丈な壁で街を守るしかない。
これでも昔よりは良くなったと言うのだから、街の外の危険がよく分かるだろう。
そんなこんなで街騎士団本部に着いたわけだけど、冒頭に桜とあるように、今の季節は別れと出会いの季節、春。
つまり、新人団員が入ってくる。
僕の団に新人が来るのはなんと僕以来である。そして僕の所属する団は周りから狂っている、と言われることが多い。つまり、問題児が多いということであり、そこに新人が入ってくるということは…。
問題児がくるということ。そして……。
二人も…。
………。
ここは隊長としての威厳を見せる所だな。頑張ろう…!
そう決意し、僕は我らが第六騎士団のホームに入った。
訳だけど……。
「何なんだよお前らっ。今大事なキャラ紹介の回だぞお前ら!!プロローグでまだ主役の俺と嫁の名前さえ出てないから作者焦ってるんだよ!だから部隊長位はピシッとさせて、ちゃっちゃと紹介終わらせたかったのに何でそんなにキャラ濃いんだよっっ!」
いつもどうり第六騎士団の部隊長(仮)たちはキャラが濃かった。
何故(仮)がついてるかって?うちは団員が部隊長(笑)しかメンバーがいないんだよ。問題行動多すぎでな。うるせぇ。
コイツらどうしてやろうかと思ったが今は新しい団員が控え室で待っているはずなので、そちらを優先する。
その新人たちも此処最近と言うか僕が入団してから全く来ていなかったのに来たっていう時点でかなり怪しいんだよな…。
「お前ら、キャラ紹か……相手は後でしてやるから此処で大人しくして待ってろよ」
「「「「「ハーイ」」」」」
あと、釘を刺すのは忘れない。
ガチャガチャガチャン。バキッ。ドンッ。という音をならしてドアを開けた(ぶっ壊したともいう。たてつけが悪いのがいけない)僕は、その隙間からちょっと顔を出してなかの様子を伺う。
「転生して手に入れたこのチートで今から私の英雄伝説が始まるのよ!フフ、フフフフ」
「ねぇ、だ、大丈夫かなぁ。こ、こんな私が騎士団だ何て。大丈夫かなぁ?キノリン」
…そこには転生とか意味わかんない事を言ってる金髪碧眼のいかにも世間知らずそうなくせにやんちゃそうでもある女の子とオドオドとした桜色の髪と瞳の色をした虚空に向かって喋っている危ない女がたっていた。
そういえばまだキャラの名前出てきてねぇ。
という、現実逃避。
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