第3話
「それじゃあ、物語はいつまでも進まないよ?…アリス。」
アリスは耳は良い方だが、突如として聞こえて来たその声は、部屋全体に響いていて、どこから聞こえているのか、アリスにはわからなかった。
「あなたは誰!?どうして私の名前を知っているの!?どこにいるの!?私の前に出て来てちょうだい!」
アリスは辺りを見回し、必死に声の主を探した。
「アリス、君の前に出ることは出来ない。ただ、君が、この物語を進めたいというのなら、行動を起こさなければならない。与えられた“モノ”を使ってね。」
「与えられた“モノ”?」
「そう。けれど、勘違いをしてはいけないよ、アリス。これからの世界に常識はないからね?」
常識がない世界?
何よ、それ。常識はどこの世界にも存在しているものでしょ?言っている意味がわからないわ。
「一体、どういうことよ?」
アリスのこの言葉を最後に、その声は聞こえなくなってしまった。
一体、何だったのよ。
どうすれば良いの?
「『行動を起こせ。』って言ってたわね。…行動?…与えられた“モノ”?」
アリスははっとして、スカートのポケットに入れていた【Eat me♡】と書かれ、ピンク色の液体が入っている瓶を取り出した。
「まさか…これを飲めって言うの?」
アリスは顔を引きつらせた。
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