19. さよなら林下。
【海人目線】
走って戻ってきた。
☆
走って戻ってきた。とっさに直樹に頭をさげる。
「ごめん、直樹。」
「…いや、林下くん女の子に囲まれて見えなくなってただけだから(笑)
大丈夫。気にすんな。すぐカッとなった俺も悪かった。」
「ごめんね、ありがとう。」
「おう。」
とりあえず… 安心。と、林下がこっちに歩いてくる。
「かーいっとくんっ!」
後ろに手を組んではなしかけてくる。
「…?」
どうしたんだろうと顔を見上げる俺。
「やっぱ僕が間違ってたみたい。おじゃましました〜☆」
笑顔で言ってくる。ど、どど、どういうことだ...
と、とりあえず。今の状況でわかるのは... 反省はしていなさそうだ。
「あっ!僕の学校の名前ちゃんと覚えたっ?春ヶ丘高校...ネ!!
エクセレント学園より名前だっさいけどーっ!(笑)」
俺は「学校名を笑うな」なんて言う勇気も暇もないまま。林下は続ける。
「春ヶ丘でバスケに入ってたんだけど、バレーに入ることにするよっ☆
モテ度下がっちゃうけどね〜っ!あっ!僕なら下がんないかっ☆
んじゃ、みんなありがとねーっ!!!」
バレーの練習の準備をしていたみんなに呼びかける。
いちいち...うざい。
「えっ帰んの!?」
山口先輩がボールを片手で回しながら言う。
「早くね!?(笑) まあ、頑張れよ〜(笑)」
手を大きく振った山田先輩。
「また大会で会おうね。まぁ僕が勝つだろうけど...」
林下は俺の耳だけに聞こえる大きさでそう言い放ち、ニッと笑い、
「んじゃ、バイバイ!」
そう言って帰って行った。
今考えるともう少し小学生の頃の思い出話(いじめ以外の部分)を
しておけば良かったかなあ... なんて。ほんの少し思った。ほんの少し。
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