11. ゴリラ。
山田先輩が低い声で顔を近づけてくる。
俺が笑っただけでこんなに喜ぶなんて
正直びっくりしたし、なんだか...照れくさい。
慌てて俺は顔を隠した。
☆
慌てて俺は顔を隠した。
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「ぷっは〜〜〜っ!先輩ついでくだせえっ!!」
休憩時間。山口先輩がまた山田先輩と楽しそうにしている。
すると直樹が俺の隣にしゃがんだ。
「海人。話したいことがあるんだ。」
「ん?」
「俺、気づいてたんだ。俺のせいで海人が大人しくなったこと。」
直樹は下を向いて膝を床につける。
「ごめん。この通りだ。」
直樹は土下座をする。
「え、そこまでしなくて大丈夫だよ…!俺も直樹のこと頭の中では許してた。けど、なんかモヤモヤしたんだ。すげえ気持ち悪かった。」
シーンとなる。直樹が俺と背中を合わせる。
そして、やっとのように口を開く。
「俺があいつらに従った理由... 聞きたいか?」
続けて言う。
「あいつらの中の1人の父さんのとこで俺はバレーを習ってたんだ。」
「…うん。」
「んでな、あいつらが『バレーをやめたらいじめをやめてやる。』って。
海人の為ならって思ったけど…やっぱり…俺…」
止まって泣いてしまった。このまま泣いていたら目が腫れる。
周りのみんなは話していて気づいていないっぽい。
俺は向き合っていた直樹の背中の方を見て、そっと右肩に手を当てる。
「バレーをやりたかったんだよな。わかってる。大丈夫。」
「おう... ありがとな、(笑)」
直樹は泣きながら笑顔を作る。
「やっぱ俺、お前のこと尊敬する。俺とは違って直樹がいじめられたとしても、直樹はこんなふうにならず、強かったと思うんだ。バレーを考えてやれって言ってくれたのもお前だろ?...やっぱかっけー。尊敬。」
こんなこと言ったのも、言った後に自分でびっくりした。
すると、真島先輩がしゃがみこみ、直樹の顔を覗き込んだ。
直樹は慌てて涙を拭き、鼻をすする。
「じゅrrrrrrrrっg...じゅrっ...じゅrrrrr...」
「うおっ!?お前泣いてんのかあ!?!?
うおおおおお俺の胸で泣けええええ!!!」
しゃがんでいた真島先輩は立ってゴリラのように胸を叩く。
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