8. いっかいだけ。

「集合だ!」


高橋さんの号令だ。いつも以上に声を張っている。



高橋さんの号令だ。いつも以上に声を張っている。


「お前らは練習通りにやればいい!!!

ボールが地面につくまでは絶対に諦めるなよ!」


「おっす!!!」


みんなもいつも以上に気合いがあるように見える。


「なあなあ海人。」


直樹だ。


「何ですか。」

「はい。敬語アウトー!(笑)」


直樹の笑顔もいつも以上だ。


「本気出せよな。バレーは考えるのが楽しいんだ。海人が本気出さないと力を合わせることは不可能だ。考えてバレーをやってみたらどうだろ?」


「考え...る...?」


「おう!相手が次どういう攻撃で来るかーとか

自分のチームの誰かにこういう技を出せーとか言ってみたり。

とりあえず海人はまず、チームのことを考えたらいいんじゃないかな。」


「…うん。できなかったら...どうしたらいいかな。」


「なに弱音吐いてんだよ!(笑) 大丈夫。俺らは..

少なくとも俺は、海人が頑張ったってことがまずは1番の喜びだよ。」


「...」


「頑張ろうなっ!」


--


考えてバレーをしてみた。意外と...楽しい。

結果は予選敗退だったけど、みんな「どんまい!」って言い合ってた。

バレーを考えてやったら人間不信から抜け出せるかな...

みんなとの関わりも広がって…。1番の近道かもしれない。

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