第1324話 そろそろ

人から評価されるということを諦めたほうがいいと思う。


30年以上前、人から評価されることなど求めずに、ただただ自分の世界に浸る為の創作をしていた。


今はネットという誰でも利用できる空間で世界と繋がれるようになった。


他人と簡単に繋がれるようになった。


良いこともあるし悪いこともある。


他人がすぐに反応する世界にいると、他人の意見に注意が行くようになる。


自分だけの世界が漏れ出て他人の目にさらされることになる。


自分を知ってもらえる喜びや哀しみに煩悶することになる。


30年以上前、誰も私の小説など読まなかった。


誰一人読んでなかった。


読者は私だけだった。


それでも十分幸せだった。


公募に応募するときでさえ、一人で何もかもやり遂げた。


感想もなく評価もなく。


それでも自分の世界の中で息づいている幸せに満足していた。


でも、一度他人が読むのだという期待と希望を抱くと、承認欲求が刺激されて、読んでほしいという欲が生まれる。


その欲が今は煩わしい。すごく心が動揺する。


読まれてないんじゃ無いか、評価されてない、クズ作品を生んでるからじゃないか、クソほど面白くないんじゃないか。


こんなこと、30年以上前は一度だって考えたことなんてなかった。


自分の生み出す世界をクソなんて思ってなかった。すごく幸せな世界だと思っていた。書くことが喜びだった。


自分の作品をクソと思いたくない。


だから、意識して、読者に期待しない。世界を大事にする。自分にとって書く毎に最高の作品にして、自分を喜ばせる。


とにかく書いて幸せになることだけ考える。


あくまで好きで書いている分にはそういうのが必要だと思う。


他人の目で自分の作品の価値を決めないほうがいいと思う。


他人の目も評価も、読まれることも、全て、自分の世界には必要のないものだと頭に焼き付けて、自分の世界を書くことに邁進したい。


他人の目を気にする創作活動は苦しみしかない。


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