第2話「孤独の中で見える世界」
その人は、
ひと通りあたしの状況を聞いた後で、こう話してくれました。
「孤独を受け入れて、経験するとね、人って綺麗になるんだよ」。
孤独は確かに寂しいものではあるけど、不幸なことではない。
逆に「感受性」というものは、一人にならないと育たない。
どんなに綺麗な景色があってもね、
誰かとみるよりも、一人で見た方が、より深く感動できるし、色々と感じることができる。感性を磨くというのはそうゆうこと。
平安時代の女流作家の人たちも、人一倍孤独を受け入れてきたからこそ、
ふと見上げた時の月の輝きから様々なことを感じ、自分を取り巻く自然の美しさや景色に素直に感動し、乗り越える勇気を貰い、
そこで得た感性を創作に生かし、素晴らしい和歌や作品を書くことができたとか。
昔読んだ百人一首の歌を、改めて思い返してみる。
確かに、美しい和歌ほど、寂しさと隣合わせのような内容だったな。
愛する人を待ち続けても、その人は違う女性のところにいってしまう。
今夜も私は月を眺めながら、愛しいあの人がくるのをじっと待つのでしょう。
そんな祈りのような和歌が、
とりわけ美しく、はかなく感じ、私の心をゆさぶったものでした。
「孤独を怖がるんじゃなくて、孤独を見つめてごめん。忙しい日常の中で自分の心と向き合うことを忘れてるんじゃない?ああ、自分は今寂しいんだって深く深く自分と対話してごらん。寂しくならないと、孤独にならないと気付かないことって実は沢山あるよ。あんなに月って綺麗だったっけ?とか、ふとした日常の中に、美しいものや美しい世界が沢山あることに気づくはずだよ。」
これが、人間的に成熟していく、美しくなることだって教えてくれたんです。
もし、皆さんの中で一人になるのが怖くて、別れられないと悩んでいる人がいるなら、安心してほしい。
人は孤独の中でこそ、綺麗になれる。
寂しい状況を逃れようと頑張る必要なんてない。
寂しい状況になっていい。
停滞しているような時間の中にこそ、自分を美しく輝かせてくれる貴重な経験がきっとあるはずなんです。
機会があれば、昔の人が残した和歌や短歌を読んでみてほしい。
もし、心が揺さぶられる言葉があったなら、作者の人生を調べてみてほしい。
その人は、きっと孤独を受け入れて、自分の内面と真剣に向き合って生きてきた人です。
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