第2話 お客様なのですよっ


「はっ...はっ」

「ほんと...はっ...ここはよぉ...はぁ...昔っから長い廊下だぜ...へぇ...」


二つの吐息が静かな廊下に響く。

今、雪菜と清明の2人はお客様が来たらしく

本殿へと走っていた。


だが、なかなかの歴史ある神社。

本殿まで庭から15分はかかる


「お兄ちゃん...はぁ...はぁ...もうすぐそこだよ!」


雪菜が指を指した。

指した先には虎と龍が向き合って描かれた大きな襖があった。


「やっとだな...はぁ...」


襖の前で2人は足を止めた。


そして、清明が深呼吸してから

襖に向かい声を出す


「お父様。雪菜を連れてまいりました。」


すると襖の奥から渋い声が返ってきた


「ほう。雪菜よ、はよ中に入ってくるんや。」


「はっはいっ!」


雪菜が襖に触れようとしたその瞬間


ばざっ!


襖が自然に開いた


「「っ!!」」


兄妹そろって目を開いた

襖が勝手に開くことなどいままで見たことないからだ。


「なにを驚いとるんや。ワシの力やないか。清明...。お前はよく知ってるやないかい」


襖が開いたその奥には

2人の男性が座布団に座り向かい合わせに茶菓子をたべながらこちらを見ている


1人は、雪菜と清明の父「雨野月 卯京」(ウノズキウキョウ)

この神社の神主。年齢は40手前であろう

顎鬚を生やし眼帯を右目にはめている

その右目には色々ありそうだ...


そして向かいに座っているのが

雪菜のお客様だ


「お父様の力は知ってますが...まさか襖を開けることが出来るとはこの17年間わからなかったであります...」


兄は開いた襖を通り抜け、2人に近づき

正座した


そして、ひょいひょいと手招きをして雪菜をよぶ。


雪菜は、はっとなり兄に呼ばれるがまま

兄のとなりに正座ですわる


「ほほう。2人ともいさぎいいやないのぉ...」


父はニタニタと微笑む


「...お父様が私にお客様だと言ったから...」


雪菜がクチを開く。


「あっ!そやったなぁ...ほれ、雪菜こっちおいで」


父が手招きをして雪菜をよぶ。

言われるがままに行く。


「あんな。この方が雪菜のお客様やで。ちゃんと挨拶しいや。」


雪菜は父親の向かいにいるお客様に目を向けた


「っ!?」


雪菜がはっと目を開く


「初めまして...だよな?...俺はこれから雪菜のお世話係になる夜野月 優(ヨノヅキユウ)だ。宜しくな」


優は食べていた茶菓子を置いてにこっと微笑む


「おっ...お前は...あの時の...おっ男か!」


雪菜がブルブル震えながら指をさす

優に向けて


「ん?なんや?雪菜ら知り合いやったんか?」


父親は頭に?を浮かべた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る