(非)日常
「...っは!時間が一瞬でとんだ!?」
「寝てただけだろうが!よ!帰ろうぜ。」
田中、お前は手加減を知らないのか...
叩かれた頭をさすりながらバッグを取って、最後の時間割が終わって騒がしい教室を後にする。
「ちょっと購買よって行かない?シャー芯が...お、あれは....」
数人と一緒に渡り廊下を横切る小柄な少女、間違いないあの人は、
「うん、間違いない桜井さんだ。」
「悠、お前ってどこにいても桜井さんに気づくよな」
呆れたような口調で話す田中はなんだかもう慣れてしまったようで、追加で説明をしてくれる。
「あれは生徒会のメンバーだろ、掲示板に生徒会の集会があるってお知らせ、見なかったか?」
「ああー、そういや見たかもしれない。」
正直そんなことどうでもいい、なんてことは大いに思っちゃったけど田中に免じて口に出すのは許してやろう。
「いいなぁ、俺もあんな風にお近づきに...」
「じゃあ生徒会入れよ。」
「嫌だ。」
きっぱり言い放つ。凡人にはあんな高みなところに入っても肩身が狭いだけだ。
「何かこう、悪の組織が出てきて連れ去られそうになる桜井さんをさっさうと助け出した俺に対して『キャー悠くんかっこいいー』みたいな展開にならねぇかなぁ。」
裏声混じりに話す俺に田中は
「その裏声だけは勘弁。寒気がするわ。」
「ひでぇなぁ、友よ。」
「うるせぇこんなときだけ友を語るな、後ベタベタ引っ付くな!」
いつもの如くそのまま何かアクションを起こすでもなく、田中と靴箱に向かう。
いつも通りだ。なんと平和なにちじょ..
「キャー!!」
「え、嘘、まじ!?」
振り替える俺の目に写るのは
倒れた桜井さんだった。
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