2

部屋を暗くしてパソコンをつけ

お気に入りの動画を流す

きらきらとした音の中で

ぼくは自分を忘れることができる


子供の頃は世界が不定形だった

夜の外には化け物がひしめき

ぼくは夢の中でいつも食べられ

家族は嬲り殺されてしまう

でも、いつからかぼくはタバコを買うために

夜道を散歩することができるようになった


子供の頃に読んだ漫画は

頭を使うものがヒーローだった

自分を信じるものがヒーローだった

最後まであきらめないものがヒーローだった

つまりぼくはヒーローじゃない


部屋の明かりをつけたときに

ぼくはパソコンを見つめているちっぽけな男を見つける

今の彼は窓の外の夜に幻滅している

そして彼はただずっとパソコンの画面を眺め続けている

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る