私の軌跡。

@manoyamada

失恋。


私は1週間前、付き合っていた彼から突然別れを告げられた。

彼は2つ下の後輩で、同じ専門の同じ学部に今年入ってきたばかりだった。

秋は別れの季節と言うけれど、本当にそうなのだなってしみじみ感じた。

彼とは2ヶ月前に付き合いだした。

私は彼を特別認識していなかったけれど、彼は私を知っていたようで、

共通の知人の家で飲み会をした際に告白された。

その時は付き合ってた人もいなかったし、まぁいいか。その程度。

その程度で付き合いだした。


彼は私とは全く別の人種のようだった。

私はどちらかというと内向的で、利益を優先するタイプ。

行事や大勢での飲み会はあまり好まず、何より友人も多くなかった。

自分の将来に必要だと自分が感じたものだけ、

それだけにしか熱中できなかったし、しようと思えないようなクズだった。

他人にもあまり興味がなく、周りからは1人で生きていけそう。

年や見た目よりも数段も大人だと評価を受けることが多かった。

そして自分自身がそれを苦だと思うこともなかった。

こんな私に反して彼は、とても人当たりがよく何事にも積極的。

教師からの信頼を得るために努力をする人で、クラスの中心。

友人も多い人だった。

キャンパススタッフやら委員会やら常に何かやっていて、

年下だけど、とても尊敬できる人だった。


そんな彼から別れを切り出された理由。

多分私の学内評価や、性格が気に入らなかったのだと思う。

私は実習やら何やらに出されたら、周りの誰より高い評価をもらってくることが多かった。

自分に必要な人脈やら何やらを作るためなら私は全力を注ぐからだ。

そしてこういった専門職は人脈が大事になる。

私に近づいてくる人の中には私の外での評価を目的にしてくる人も多かった。

なんだかんだ、みんな打算的なのだろう。

それに反し、誰かに媚びず好き勝手に生きている私を、クラスメイトや教師があまり好きでないこともわかっていた。

彼は何度か私の性格について、言及してきたことがある。

面倒くさがってばかりではいけない、行事には参加すべきだ。と。

正直とても煩わしかったのを覚えている。

でも最初は全く気持ちのなかった私も、彼と居るうちに私の持っていないものを持つ彼を、私の捨てたものを全て背負って笑う彼を尊敬し、愛してしまった。

生まれて初めて恋愛で後悔をした。

今まで誰かのために変わりたいなんて思ったことはなかった。

別れた後に引きずることも、胸が痛いと思うこともなかった。

それなのに、別れた今。変わりたいという気持ちを強く持つようになった。

自分を理解してくれる友人が居てくれればいい。そう思って居たのに、

あの人がいない今はとても空っぽで生きる意味さえない。ずっと、ずっとずっとずっと痛い。そう思えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私の軌跡。 @manoyamada

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ