第38話 tea with milkというモノについて

 かなり以前(当コラム2話)にて、ミルクティーについて語りましたが、あれでは少々乱暴だと思いを改めまして、再度ミルクティーについて語って行こうと思います。


 ご存知の方々でも、新しい発見があるやも。今回は、少々専門的です。





 まず『tea with milk』と言ってしまう所が専門的です。いわゆる『濃い目に淹れた紅茶にミルクを注いだモノ』、つまりは普通のミルクティーの事を指します。


 実はこれが色々と奥深いのです。


 まずは水色すいしょく。紅茶自体が濃い赤褐色でないと、ミルクと混ざりあった時に、美味しそうなクリームブラウンの色になりません。


 そして味。渋味やコクが強くないと、ミルクの味わいに負けてしまい、ただの薄いミルクになってしまいます。


 これらを総合すると、tea with milkに最適な紅茶は、アッサム・ウヴァ・ディンブラ・ケニアなどに絞られます。ちなみに筆者の最近のオススメはセイロン・ルフナ。水色すいしょくが濃く、味わいは渋味は少な目ですがコクがあり、ミルクに負けない力強さがあります。






 またミルクにも拘りが出てきます。


 通常、日本で流通している牛乳は、「高温で殺菌」したものです。これが実はあまり良くないと言われています。敏感な方ならおわかりかと思いますが、高温で殺菌するため、たんぱく質が焦げたような匂いが出てきてしまうそうです。ほんの僅かですが。


 そのためtea with milkに向いているのは、低温で殺菌された牛乳が良いとされています。通常の品物よりも少々お高めで保存が利きませんが。


 それから、冷蔵庫から出して室温に戻しておくのが良いとされています。冷たいままで紅茶に注ぐと、ミルクティーがぬるくなってしまいますから。


 代用の方法としては、ミルクピッチャーを熱湯で温めておいて、そこに冷たい牛乳を注いでほんのり温めておくというもの。これだと、ストックされている牛乳が悪くなる事は無いですね。





 それからいつもの論争ですが、「ミルクを先に入れてから紅茶を注ぐ」か「紅茶を注いでから後からミルクを入れるか」です。


 こちらは2003年にイギリスの王立化学協会が研究・発表したのですが、ミルクを先に入れてから紅茶を注ぐ方が良いと結論づけています。


 熱々の紅茶に少量の牛乳を注ぐと、牛乳に含まれるたんぱく質が熱変性を起こし、美味しさが損なわれる。と言うのがその理由です。なので、逆のミルクを先にして後から紅茶を注ぐのが良いと言う訳です。


 ただ、この『ミルクが先』の論説は、作家ジョージ・オーウェルが書いたエッセイ『A nice cup of tea』(こちらのお話ですと、紅茶が先が良いと書いてあります)へのオマージュであり、ディベートであるとされています。もちろん人の好みですので、美味しいと思えればどちらでも良いと思います。





 そして砂糖ですが、これも種別が多いです。上白糖にすれば濃い甘さが付きますし、グラニュー糖にすればスッキリとした甘さになりますし、黒糖やきび砂糖なら甘みにコクがプラスされます。もちろん砂糖抜きもアリです。


 余談ですが、蜂蜜にした場合は、『キャンブリックティー』というアレンジ紅茶になります。これもまたオススメです。





 いかがでしたでしょうか。ミルクティーと一口に言っても、ここまで拘るとその幅はかなり広くなり、収集がつかなくなってしまいます。


 召し上がる方々にとっては、色々試してお気に入りの組み合わせをチョイスして、美味しいティータイムをお過ごし頂きたいものです。

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