第37話 【番外編】紅茶・コーヒー・緑茶と『お湯』の関係性

 さて今回は番外編という事で、抽出する『お湯』についてのお話です。お付き合い、宜しくお願い致します。今回は紅茶の他に、コーヒーと緑茶にも触れようかと。


 コーヒー・紅茶・緑茶、共に、その主成分は水であり、その比率は99%以上です。美味しさのかなめは水にあり、とも言い切れるかと。







 紅茶に関しては、汲みたての水を使用し100℃にしっかり沸騰させたものを使用します。それは紅茶の成分が、酸化酵素などの働きによって酸化・重合しておりその粒子が大きいので、高い温度で抽出しやすくするためと、汲みたての水で溶けている酸素が多い状態にしておく事で、ティーポット内部でお湯の対流を起こしてお湯と茶葉が触れている状況を増やすため、という理由があります。


 コーヒーに関しては、沸かしてからひと冷ましした80~85℃のお湯を使用します。それは、100℃の熱湯では余計な苦味・雑味が抽出されてしまうため、それらを抽出しないようにして旨味・心地好い苦味を抽出するためです。


 緑茶に関しては、二度沸かしをして溶けている酸素を追い出した『熟湯じゅくとう』にして、ひと冷まししたお湯を使用します。通常の煎茶で80~90℃、玉露に関しては40~50℃のぬるま湯を使用します。こちらも、余計な渋味を抽出しないためです。特に玉露は、旨味成分が多いぶん、渋味・苦味も多いものなのです。






 水に関しては、硬水・軟水の条件もあります。


 紅茶や緑茶に関しては、軟水の方が良いとされています。水に含まれているミネラルがお茶の成分と結合して、水色すいしょくが黒っぽくなり香りも立ちにくくなります。


 ただその性質を逆手に取って、渋味の強い紅茶に中硬水を使用し、渋味を抑えて美味しく飲めるようにする、という裏技もあります。イギリスの昔の紅茶では、渋味の強いアッサムに中硬水を使用しミルクを入れる事により、まろやかな味わいで綺麗なクリームブラウンの水色すいしょくにしていました。


 コーヒーに関しては、軟水でも硬水でも大丈夫なようですが、日本人にとってはやはり軟水の方が口に合うようです。苦味がハッキリして舌への当たりも良いですし。






 なお、ペットボトルのミネラルウォーターも良いですが、日本では水道水でも充分大丈夫です。ミネラルウォーターを使用する場合は、表示されている硬度を調べて、紅茶を淹れる場合はよく振って酸素を含ませると良いかと。


 紅茶もコーヒーも緑茶も、その素材に注目が集まりますが、基本的なお湯についても拘ってみると、美味しさが格段に違ってくると思います。淹れる方々は、是非拘ってみて下さい。


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