第18話 セイロン紅茶。その歴史と多様性。
続きまして、昔ながらの味わいで、昔からの紅茶好きな方なら一番馴染みがあるであろう、セイロン紅茶というものについて解説して行きます。
まず『セイロン』というのは、インドの南に浮かぶ島『スリランカ』の昔の名前です。そのスリランカで生産される紅茶なので、『セイロン紅茶』と言われる訳です。
その昔、スリランカはコーヒーの1大産地でした。しかし、コーヒーさび病という病気がコーヒーの樹木に蔓延し、それらはことごとく全滅。ほぼ全てのコーヒー樹木は伐採されてしまいました。
そんな状況下で新たなる作物が導入されます。それが紅茶だったのです。
そして紅茶の栽培が始まった最初期、ある男性が栽培・製茶した紅茶が素晴らしいと評判になります。その男性の名は『ジェームス・テーラー』。後に『セイロン紅茶の神様』などと呼ばれる人です。
テーラーや様々な人たちの活躍により、セイロン紅茶は世界でもトップクラスの良質な紅茶を生産し、現在スリランカは世界一の紅茶輸出国となったのです。
日本茶に『宇治茶』や『狭山茶』があるように、セイロン紅茶にも産地の名前がついた紅茶があります。続いてはその簡単な解説を。
●ウヴァ
セイロン紅茶の中では一番有名で、世界三大紅茶のひとつ。
結構強い渋味と、旬の時期にはメントール系の香りもほのかに感じられます。
●ヌワラエリヤ
スリランカの中央高地のひときわ標高の高い所で生産される、少し緑っぽさを残す香りがある紅茶。セイロン紅茶のシャンパンとも評されます。
●ディンブラ
渋味も香りも中程度の、とてもベーシックな紅茶。
ストレート・ミルク・アレンジ、どのようにしても美味しくブレない紅茶。
●キャンディ
鮮やかな琥珀色と軽い味わいで、ストレートやアイスティーにもオススメな紅茶。
●ルフナ
深い赤褐色で、渋味は薄いですがコクが強く、ミルクティー向きな紅茶。
主に中東などで人気があります。
この他に、ディコヤ・ウダプセラワなどなど、様々な産地があります。紅茶の専門店でなければ、なかなかお目にかかれない品物ばかりですが、召し上がる機会があれば是非召し上がって頂きたいです。
余談ですが、上記のジェームス・テーラー氏、長い口髭と顎髭を蓄え、ガッシリとした体躯と武骨で大きな手をしていた偉丈夫だったそうですが、反面、口数少なく穏やかな性格で指導は優しく丁寧で、部下たちからも慕われ物凄い人望があったそうです。
紅茶に関わる方々は、こういった優しい穏やかな方々が多いですね。あくまで私的な感想ですがね。
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