第13話 アッサムという紅茶

 さて今回のコラムですが、皆様にも馴染みのある紅茶の一種類、『アッサム』について書いて行こうと思います。良かったらご一読を。







 まず、『アッサム』というのは以前にお話した『ダージリン』と同様、地名になります。


 インドの北東部にある、ヒマラヤの山々とブラマプトラ河という大河などに囲まれた大平原、そこがアッサム地方になります。モンスーンによって運ばれた湿った風が、雨や霧を纏わせる、そんな自然豊かな大地です。






 始まりは、イギリスの軍人であるロバート・ブルースという人が、1823年にアッサム地方を探検していた時、偶然に自生するお茶の木を発見した事から始まります。


 そこからロバートさんの弟のチャールズ・A・ブルースさんが、発見されたお茶の木を栽培して製茶し、本国イギリスに送ってみたら、これが高評価。瞬く間にアッサム地方のジャングルが開拓・開墾され、紅茶の一大産地になった訳です。


 ちなみにアッサムに自生していたお茶の木は、最初は「これ…お茶の木…なの?」と疑問に思われていたそうです。当時は中国のお茶の木が主流で、それと比較してもかなりの大ぶりな葉っぱでしたから、学者の方々も判別がつかなかったようです。





 アッサム紅茶の特徴は、大地を思わせるその風味です。

 香りは、「濡れ落ち葉」とか「焦がした糖蜜」などと形容され、味わいは丸くて重みのある渋味とコクが特徴。ミルクティーにしてもその風味が薄まる事もなく、むしろ良い相性のモノになります。


 香りからも想像がつくように、クッキーやスコーンなどの焼き菓子との相性がベストで、アッサムのミルクティーにクロテッドクリームをたっぷりつけたスコーンを合わせる『クリームティー』は、イギリスのアフタヌーンティーでは定番中の定番です。





 茶葉に関してですが、一般的に流通しているアッサムの茶葉は、CTCという製法で作られています。これは茶葉を、crush(押し潰し)・tear(引き裂き)・curl(丸める)という加工をするところから来ています。これにより茶葉は丸い粒状になり、扱いやすく速く成分が抽出されるので、とても重宝されます。


 私もマサラチャイを作る時には、速く濃く抽出できるこのCTC製法のアッサムを使用しています。かなり美味しいですよ。


 もちろん、通常のお茶っ葉も流通しています。こちらは、ストレートでもミルクティーでも、美味しく頂けます。





 深い赤褐色の液体に思い馳せるのも、良いのではないでしょうか。

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