コギトの夢

 「っ!」

 床に寝袋を敷いて寝ていたコギトは、目を見開いて、上体を起こした。キョロキョロと辺りを見渡すと、部屋の中は真っ暗だった。窓から入る月明かりだけが頼りだった。

 「………」

 コギトは、立ち上がって右を見た。ロブとハナとアニーが、やや狭そうに並んでベッドに寝ていた。   

 「……また、あの夢……」

 コギトは頭を抱えた。声は、震えていた。

 

 コギトの脳裏に、夢の中で見た掠れた映像が甦った。

 数十人規模の盗賊に囲まれる映像。

 盗賊達をコギトが滅多斬りにしていく、一人称の映像。

 その跡には、死体の山と凄まじい血溜まりが残った。

 

 「―――――――――――――――――っ!」

 コギトは、無音の悲鳴を上げた。

 「っふう、ふう、ふう、ふう、ふう……。」

 コギトは、叫ぶだけ叫ぶと、息を整えて、

 「……あの人達も、承知でやって来たのはわかってるのに……、駄目だなあ、私は。……ナイフと鉈でも研ぐか」

 コギトはそう言うと、ナイフと鉈を研ぐ準備に入った。

 

  

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