第8話
「みきりん、じゃあ帰りますわ。」
「うん、今日はどうもありがとうございました。じょんれのんさん、これCD」
「ありがとう。」
「みきりん、今日レコーディングするのは新曲なん?」
「それはナイショ!」
「えーーー気になるやん。気になる、気になる、気になる。」
「きりんさん!」
「はい!」
「歌うから!私、ずっと歌い続けるから!」
「おうよ!勝手に守ってるから!」
その後、レコーディングを終えたみきりんがスタジオを出たのは、ちょうど日が昇る頃であった。みきりんは空に向かって大きな声で叫んだ。
「かれんさん、ムクドリさん、お疲れさま!」
空は青く、雲一つないとても静かな朝だった。
その日の夕方、かれんがいつも歌っていた駅前では、じょんれのんがCDを鳴らして座っている。こきもりんストラップがギターケースに付いている。しばらくして、50歳ぐらいの女性がハッとした様子で足を止め、しばらくCDからの曲を聴いているかと思うと、声を掛けて来た。
「あのー、すいません。このCDはここで歌っていた....」
「あー。まあ、そうですけど。」
女性はその場で声を出して泣き崩れた。かれんの母親だった。
「良かったらどうぞ。」
CDを胸に抱きしめながら、何度も何度も振り返っては、頭を下げる母親。じょんれのんは視線を上に向けてStand by meを歌っている。きりんにはStand by meのmeの発音が、2回に1回、ほんの僅か、ほんの僅かだがMomに聞こえた。
完
こきもりん Part2 かれん最後の歌編 ひょん @kinshiro1201
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