第9話「まじで後悔5秒まえ。」
手本引きという賭博をご存じだろうか。
あまり、一般にはなじみがないが、賭博の王様ともいわれてる。
簡単に説明しよう。親は一から六の数字の書かれた札を持ち、子に分からないように札のどれかを1番上に持ってくる。その札が何かを子は当てるというシンプルなものである。
なにが面白いのかと思うかもしれないが、このゲーム親が適当に札を選ぶことが許されない。必ず考えて引く必要があるので、子と親の心理戦になるのだ。
サイコロや、ルーレットのような運ではないというのが醍醐味で、これにはまると他は出来ないといわれている。
さて、手本引きは瞬にとって好都合のギャンブルだった。実はサイコロを使ったバクチの場合、時間をもどしてやりなおすと、結果が変わることがすくなくないのだ。
それは実はジャンケンでもたまにあった。ほんの少しの条件の違いで結果が変わるということを瞬はよく学んでいたので、ジャンケン勝負もじっくり考えてから手を出すというルールで行っていた。
その点、手本引きには紛れはない。瞬にとってじつに好都合だった。悪友の紹介で中3の身でありながらヤクザの開くような賭場に出入りして、そして最後の勝負で大きく賭けるいつもの手段を使い、勝ちを積んでいった。
相手はヤクザなので、目立たないよう、たまには負けながら、確実に稼いでいった。
目立たないようにしたつもりだが、気づけば、中学生の強い勝負師がいると、知られるところでは知られるようになっていった。
確実に、瞬はアウトローへの道へと進んででいったのだった。
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