第1話③始まりの日

入学式の校長の話はとても長かった。世界中の戦争の話から始まりお得意の今私たちに出来ることをしよう、そんな内容だった。内部組(中学から学園に所属している者)はコソコソと何かを話、笑っているようだった。

改めて見てみると内部と外部組(高校から学園に所属している者)は外見から大いに違い、すぐにわかる。内部組の大半はスカートが短く先生とよく話す。それに対して外部組は静かに移動しスカートも特筆するほど短くはなかった。

暇で暇であくびが止まらなかった入学式は終わりとぼとぼ教室に戻っている最中だった。

「あっ……!(今朝ぶつかってしまった人!!)」すらっとした身長。短いスカート。高めのポニーテールで長髪。間違いなく彼女であった。そして内部組の上級生に思えた。私は躊躇しつつ彼女が落としたキーホルダーを渡すために彼女に声をかけた。

「……あの……。」

「……。」

「……あの!」

「……。」何度呼んでも彼女は返事をしなかった。(無視……されてる??)中学時代の嫌な思い出が頭をよぎる。

(「あの……」

「……」

「ねぇ……」

「……」)

何度話しかけても無視をされていた。もしかして同じ中学の人……??でもこんな人見たことないし……。年上だし……。とぐるぐるぐるぐると考えてしまった。(だめだ……。もう無視されてるならいっそのこと!!)私は勢いよく彼女の腕を掴んだ。

「あの!!」すると彼女は振り返りヘッドホンを外し、首にかける。(ええ……?ヘッドホンつけてた……無視じゃなかったし……それに……!)

「は???」怪訝そうに彼女は振り向く。私は驚いてしまう。なんと彼女のネクタイは私と同じく青色だった。(同級生……??!!!)言葉を失っている私は黙ってしまった。頭の整理が追いつかない。

「なに??」彼女はブレザーのポケットに手を突っ込みながら聞いてくる。

「あ……いや……その……」

「なんなの?用ないなら行くけど……。」彼女は手を振り払い歩きだそうとしてしまった。このままじゃ……また同じだ……!!!

「……あの、私1年D組の水森絢香なんだけど!!」

「……はぁ、……で??」私は自分が勢いつきすぎていたことに気づき猛烈に恥ずかしくなってしまった。

「ほんとにあんたなによ??」彼女はもう完全に痺れを切らしていた。どうやら短期のようだ。……いや、私がノーテンキなだけなのかな???

(……どうしよう……。)彼女と再会したのはよかったが早速のコミュ障発揮に私は次の言葉を探していた。

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青春初心者 諸星 秋凪 @kasukabe1006

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