第1話②始まりの日
クラス割は入学手続きの時に登録したメールアドレスに二週間前に届いた。私のクラスは1年D組。クラスカラーは緑だそうだ。私の入学した鴨居学園高等学校はむやみな増築や建築を繰り返したせいでたくさんの複雑な校舎となってしまったそうだ(在校生・卒業生談)。正門から入ってくすぐ見えるのは新・1号館と2号館。この二つは校舎は繋がっており向かって左が1号館、右が2号館であり私が入学する一年前、つまり昨年完成したばかりの真新しい校舎だ。校舎自体は大震災などもあり防災などの点については完璧にクリアしている。また、電子黒板なども導入し最新の教育体制である。つぎに、その1号館と2号館、どちらかというと2号館と空中の渡り廊下で繋がっている3号館。この校舎はむかし鴨居看護短期大学が存在していた校舎である。大学校舎であったため内装は中高のためのものではなくどちらかというとその上向けである。1階はいまでも多くの生徒が使っているカフェテリアがある。食品会社の方がいらっしゃり多くのメニューを販売してくれている他お菓子や文房具なども売っている。いわば購買である。2階は今は部活の部室や空き教室として使われている。そして奥にはあかずの間があるという噂だ。そして3階は図書館。4階は体育館という作りになっている。ち他にも6号館まであるがその紹介はまた後で。
鴨居学園は中高一貫であり高校からも少数であるが入学が可能である。悠太も私と同じ外部組であるらしい。小学校の頃はただひたすら馬鹿だなとしか思っていなかったが3年という月日がここまで人を変えるのかと思うと感慨深いものである。高校校舎は1号館であり正門からは少し遠いので校庭を突っ切るのが一番早い方法であるらしい。私は悠太と雑談をしつつクラスに向かった。しかし残念なことに悠太はA組であった。校舎に入り下駄箱で悠太とはサヨナラをし単独でD組に向かう。どんな人がいるのか、どんなことが起こるのか……どんなふうに変わっていくのかドキドキで胸が張り裂けそうだ。ドアを開けるとまだ来るのが早かったのかあんまり人の姿は確認されなかった。が、中高一貫ということもありもう既に数人で固まり雑談をしていた。
「はぁ……」やっていけるか正直ものすごい心配である。何となくやることもなく、机の上に乗っていた新入生用の大きい封筒を開けた。中には学年だよりやパンフレット部活紹介などが載っていた。何も考えずに部活紹介の紙を一読する。
「…………あっ……」独り言を漏らしてしまい慌てて周りを見る。他の生徒は自分たちのおしゃべり夢中なようで全く気づいていなかった。私が思わず声を上げたのは軽音部だった。この学校に決めた理由のひとつでもある。当時演奏していたいま高2の先輩方の演奏に感動したのだ。そして兄も軽音部ということがあり少し興味を持っている。明確に入ろうとは思っていないが。その他パンフレットなどを見て時間を潰し8時30分にチャイムがなり担任の先生が入ってきた。いつの間にか教室にはたくさんの人で溢れていた。
……ここから始まるのか……。
新たなスタートを私は確かに感じたのだ。
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