第弐夜 少女ノ影

前述したように、私の周りで時々少女の声が聞こえる。それは…その声は、悪いもののように感じない。ただ、私が怖がりなびびりというだけであって。

けれど中には、悪い人間がいるように悪いモノもいるわけで。


最初に見たのは、中学三年の時。

当時、私の通っていた中学は正面の生徒玄関から入って左に職員室があり、職員室の前には中央階段があった。

私はその日、担任に提出しなければならないプリントがあり、放課後再び学校に来ていた。午後四時過ぎ。会議中で職員室前でうろうろしていた。


大会のトロフィーや賞状、新聞記事を見るともなしに見ていた。

すると、中央階段の踊り場にセーラー服を着た生徒がいた。

私は部活生か、先生に用事のある子なのかな、と思った。対して気にも留めず、ぼーっとしていた。そして、ふとある事に気が付いた。

その日は、テスト一週間前で。部活は全停止なはずで。


もう一度、その少女のいた踊り場を見たが、その少女は既にいなかった。

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