第8話 悪夢
奥は小さいながら50人程は収容出来るダンスホール
そのフロアーの真ん中に身を寄せる人集りが見えた。
ナイフ野郎「暗くてよく見えねぇ…誰か電気点けろよ」
人集りの中から1人の男が立ち上がり4人へと近づいて来た
「おい なんだお前等 どうやって入って来た?」
すると刺青の男が無表情、無言で男に近づくやいきなり頬を殴りつけた。
バコン
またも強烈な拳が繰り出され男は吹き飛ばされる。
「オーナー!」
人集りがどよめき、何人かが、オーナーらしき男に駆け寄った。
スタンガン野郎「おまえオーナーなのか? なぁ 電気はどこにある?暗ぇーよ」
オーナー「電気?無理だ この区は電力の供給が不安定過ぎて点かないよ… あのスタンドライトが精一杯だ」
入口両付近にある大きなスタンドライトの片方のみが明かりを照らしていた。
スタンガン野郎「なんで新宿はバッチし電気通ってんのにここは少ししかこねぇーんだよ」
オーナー「お前等一体何が望みだ?金目の物か?そんなもんならくれてやる それとも食い物か?生憎やりたくても殆ど残って無い… 逆にこっちが欲しいくらいだぁ… ここに強盗にきても奪う物なんて何もないんだよ」
ナイフ男とスタンガン野郎が明らかに卑下する下品な笑い声を発した。
スタンガン野郎「金目のもん?馬鹿かおまえは 金なんて何の価値もねぇーだろ、そんなゴミ取りにわざわざ来るかよ それに食い物?なんでわざわざここにくんだよ 欲しけりゃコンビニやらスーパーに行くわ」
オーナー「ならどうして?」
こいつらは何しにここに…?
何が目的なんだ?
フロアーにいる誰しもが心の中でそういった疑問を抱いた。
暗がりの中眼が慣れてきたのか刺青男とナイフ男が、15人程の人集りの中へ入り1人1人顔を覗かせはじめた。
何かを物色するかのように…
誰かを探しているのか…?
皆、無言でその様子を伺った。
5~6人目を確認
ナイフ野郎「んだよ ヤローばっかじゃん」
7人目…8人目を確認
そしてナイフ男が9人目を確認した時だ
ナイフ男「お!いたいた 見つけたぞ お前こい」
1人の若い女性の腕が掴まれ、引っ張り上げられる。
「おい その子を…」
すぐ隣りにいる男がそれを制止しようとナイフ男の手首を掴んだ
「彼女をどうする気だ?」
ナイフ男は冷めた目つきで見下ろしながら
ナイフ男「これ…おまえの女?」
「いや…違うけど」
すると グサッ
ナイフ男が突如男の肩にナイフをぶっ刺し、顔面に蹴りを入れた。
ドカッ
刺された肩からは血が溢れ、キレイに決まった蹴りの衝撃で後頭部を強く打ち付ける。
ナイフ男「ならすっこんでろ クソがぁ」
顔を手で覆い、悶える男にそう吐き捨てた。
若い女は何も出来ず、手を震わせ、ただ倒れた男を涙目で見送る事しか出来なかった。
ナイフ男「女はこいつだけみたいよ…あとはみんなヤローばっかだ」
そして女性が人集りから引きずり出された。
スタンガン野郎「お でもこの子かなり可愛いじゃん いくつ?」
完全なる暴力に支配されこの場
誰しもが凍りつき… 立ち上がって女性を助ける者などはいなかった…
女は怯えながら口にした。
「は… 二十歳です…」
刺青男が無言で急に女の腕を掴むや強引に引っ張り、どこかに連れ去ろうとしている。
用心棒達に見向きもせず通り抜けようとする刺青男
女は涙を浮かべながら無言の助けを懇願するが…
用心棒達は銃を向けられ動く事が出来なかった
そして刺青男は女を強引に外へと連れ出した
それを目にしたオーナーが奮起、再び立ち上がるや
オーナー「ちょっと待て あの娘をどこへ連れてくつもりだ?」
激怒し勢い良く追いかけようとしたその時だ
バチバチバチ
全身に強力な電気が走った。
パチチチチ
スタンガンが腹部に押され電流が流されたのだ
ドサッ
オーナーは電気ショックで意識を無くし床へと倒れた。
スタンガン野郎「あの女を貰ってくに決まってんじゃん」
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