第7話 悪人
エレナ達が救出されたのと同時刻…
渋谷のある場所で事件が起ころうとしていた…
ラブホテル、スナック、クラブが連立する路地の細道に黒のセダンが停車した。
車内には若い男5人の姿
後部席真ん中に座る眼鏡を掛けた男がノートパソコンを開き何やらブラインドタッチでカタカタ素早くキーを打ち込んでいる。
またその隣りに座る男はスタンガンを手にしながらぼやき声をあげた。
「なぁ まだかよぉ… どのクラブだよ?早く突き止めろよ…」
パソコンの男「苛つかない苛つかないの… ちょっと待って」
スタンガン野郎「しかもホントにこの辺りなのか?」
ノートパソコンの男「あぁ 間違いないよ、ここらの建物のどれかだよ、もう少しで聞き出せるから… もうちょい もうちょい」
ノートパソコンの男は誰かとチャットをしてるようだ…
また後部席左側に座る男はナイフの先端へ触れ、窓を下ろして辺りをキョロキョロ見渡しながら呟いた。
ナイフ野郎「っかし今日はやたらと静かだな… あいつらって急にいなくなったり現れたりするんだよなぁ…」
助手席に座る男はリボルバーの薬室を開き回転させて遊んでいる。
回転式6連装の薬室には全て弾丸が装填されておりそれをクルクルと回していた。
また運転席に座るリーダーらしき男
上半身裸で全身に刺青が入っている。
いかつい面構え
いかにも危険な雰囲気を醸し出している。
ノートパソコンの男「ははぁ 誘導尋問成功 突き止めた 分かったよ やっぱクラブだった ブエノスアイレスだってさ そこに隠れてるよ」
ナイフの男「なんだ その箱にいんのかぁ すぐ目の前じゃん」
5人の男達がある建物を見上げ、そこの2階に位置するブエノスの看板を確認、即座に車から降りた。
そして足音を殺しつつ静かに足早に階段を駆け上がり店の前へと立った。
ノートパソコンの男が4人へ視線を送るや扉をノックする…
ノートパソコンの男「すいません…すいません…誰かいませんか?」
すると 数秒後に中から声が聞こえてきた。
「誰だ??」
ノートパソコンの男「良かったぁ~やっと やっと人がいた… すいませんが… 助けて貰えませんか?中に入れて下さい」
「おまえ誰だ? どうしてここに?どうしてここが分かったんだ?」
ノートパソコンの男「え?奴等からずっと逃げ回ってて… ここに辿り着いたんです。ガソリンももう無くなて… かくまって欲しくて、誰か人がいないか片っ端からドアをノックして…それで今ここに やっと生きてる人に会えたんです」
「そうか… 申し訳ない…悪いんだが他をあたってくれないか」
ノートパソコンの男「そんなぁ… やっとの思いで見つけたのに…お願いです… 助けて下さい」
「わるい… ホントすまないが外部の人を入れる訳にはいかないんだ…」
ノートパソコンの男「ガス欠で車も使えないんです 見殺しにしないでください」
「……奴等に噛まれてないか?」
ノートパソコンの男「はい 勿論大丈夫です。噛まれてませんから… 中に入れて下さいお願いします」
「ちなみにおまえ1人か?」
ノートパソコンの男が刺青の男を目にしながら「えぇ そうです 一晩だけでいいですから… 出来たらほんの少し食べ物や飲み物を分けて頂きませんか…もう1週間飲まず食わずなんです。」
「一週間も… 分かった…ちょっとそこで待っててくれ」
中から数人の話し声が聞こえてきた。
「なぁ ホントに噛まれてないよな?」
ノートパソコンの男「はい…」
すると数秒後に…チェーンの外れる音が鳴り、1つ目の鍵が解除、それから2つ目も解除された。
そして…ゆっくりと扉が半分程開かれた時
その隙間から刺青の男がいきなり右ストレートの拳を繰り出した。
バカァ
男の鼻っ柱に強烈な拳がめり込み男は吹き飛ばされ卒倒した。
それからナイフ野郎が荒々しく扉を全開に開き、にやつきながら
ナイフ野郎「お邪魔邪魔」
ガラの悪い5人組が中へ侵入して行った。
奥からクラブの用心棒らしき屈強な男3人が現れ、1人が床に倒れ気絶する男へと近づき
もう2人は5人組の前に立ちふさがった。
「お前等 この人に何を…?」
5人組へと近づいていく
気絶し倒れた男の鼻骨は完全に折られ、鼻から大量出血している…
そして用心棒2人が詰め寄ろうとした時
2人に銃口が向けられた。
拳銃の男「はい!ストップ そこで止まれ それ以上近寄るな」
向けられたリボルバーを目にし1人の用心棒が口にした。
「はっ なんだそれ どうせエアーガンかなんかだろ」
用心棒がまた一歩踏み出した瞬間
パァン
2~3メール斜め先に設置されたバーカウンターに向け一発発砲された。
大きな乾いた発砲音がクラブ内に鳴り響き、カウンターテーブルに置かれた1本のスピリットリキュール瓶へ命中、貫通と共に瓶が砕け散り、破片が飛び散った。
誰しも実銃だと認識出来る一発が放たれ…初めて聞く銃声に…鼓膜が破れそうになる程の発砲音に…用心棒達はおののいた。
「うっ…」 「ホンモノ…かよ…」
用心棒達は初めて本物の銃を目の当たりにして絶句、身を固まらせた。
そして拳銃野郎が今度は用心棒達にそれを向け
拳銃野郎「後5発残ってる… 動くなよ」
拳銃野郎が用心棒達を抑え、他の4人が横目で通り過ぎ、奥へと進んで行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます