突然の死
そして大きい物体の下の部分が落ちてきた。
三人は急いで家から出て一生懸命走った。
辺りを見回すと周りの家はもう崩れていて皆必死に逃げていた。
泣き叫ぶ声が耳から流れてくる。子供、女、老人まで皆生きようと必死に走っていた。拓馬たちの家もふりかえった時には、もう崩れていて原形もがわからない状態だった。
落ちるものが多くなりガレキの下敷きになる人が多くなった。下敷きになった人は、皆潰れていた。見るも無惨な光景だった。骨が皮膚からでていた人や、頭が潰れている人がいた。人によっては、この光景がたえられなかったのか嘔吐をしている人もいる。
伶奈は、こんなの耐えられないといった表情で目をつむった。その瞬間、近くで物凄い音がした。
すぐふりかえると父が瓦礫の下敷きになっていた。伶奈が
「父さん。早く!早く!」
と泣き叫んでいた。父は痛みを堪えているようだった。
「もう父さんは助からない。二人だけでも生き延びてくれ。早く」
と最後の力を振り絞って言った。自分の子供だけは生き延びて欲しい。そんな親心だったのかもしれない。しかし、もう疲れているようだった。拓馬が
「さっき父さんいってただろ!もう助からないって。早く逃げよう。」
と泣きながらいっていた。そう言いながらも顔は悲しみに溢れていた。堪えきれない涙がどんどん溢れてくる。今は生きなきゃいけない。感情より体が動いた。
拓馬が伶奈の細い腕を引っ張った。伶奈はびっくりした様子でそのまま引っ張り上げられた。
しばらくの間ふたりの家族 の後ろ姿をじっと見ていた。すこし名残惜しそうにしていた。
でも、すこしほっとしたのか父は、最期に「良かった」と一言だけ言って目を閉じた。もう出会えるはずもないのに、逢いたいとねがってしまった。
しかし、再開のときは訪れる…
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