第79話

絶世の美女神である私と勇者のユウヤ君がリングに姿を現す。


名前で注目されたのかわからないが観客は先程より多くなっていた。


(よしよし。予想通りですね)

私は心の中で笑う。



「ミラさん、お兄ちゃん達に負けないくらい目立っちゃいませんか?」



私はニヤッと笑って打算的な笑みを浮かべる。


(やっぱりユウヤ君の性格からして提案してくると思ってましたよ)


「いいですよ。その代わりあとでお願い一つ聞いてもらえますか?」


甘えたような声でお願いすると、ユウヤ君は顔を赤くして頷く。


(チョロい)



そんな時改めて審判の方の声が響く。


<それではこれよりチーム絶世の美女と勇者の試合を始めます。対戦相手はベア二体です。それでは始め!!>



私はなるだけ目立つように、なおかつその後の追撃をするユウヤ君がより目立てるよう氷の魔法にて敵を凍りつかせる。



「アイシクルプリズン」


観客にもインパクトがあるよう気合いを入れて特大の大きさにする。

魔物を中心に超特大の氷の壁が四方にできると私は手のひらをグッと握る。


その瞬間魔物に向かって氷が飛びかかると瞬く間に魔物が凍り漬けにされた。


観客からどよめきと歓声が起きる。


そして特大の氷に向いユウヤ君が走り込む。


「光の剣」


ユウヤ君は魔力を込めて光の剣をさらに大きくする。すると3mほどの巨大な剣ができた。


飛び上がり氷の塊に向い一刀、二刀と次々と剣戟をお見舞いしていく。


観客は立ち上がり、その可愛らしい外見には似つかわしくない巨大な剣の連撃に見とれている。



氷の塊はみるみる粉々になっていく。



そして剣戟が止まると私は魔法を唱える。



「ウインドストーム」



粉砕された氷を風に乗せコロシアムの観客席に散らす。


(ウインド)



心の中でさらに魔法を唱え、氷の結晶が日の当たりを反射し、ユウヤ君をキラキラさせる。




熱くなった観客を涼しませながら爽やかに心を掴む演出。我ながらいい仕事ぶり。




《うおおおぉぉぉ》




拍手と共に歓声が響き渡る。



(フフフッ作戦通り)




私はユウヤ君の近くに行き、拍手に答えるように伝える。




照れながら手を振るユウヤ君。




割れんばかりの歓声を受けながら心の中でしてやったりの顔をして私達はリングから降りていく。

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