第80話

俺とセツナは、コロシアムの中でユウヤとミラの戦闘を見ていた。


ド派手に目立って歓声を浴びている。


「お兄さん.....私達お膳立てしちゃいましたね」


(確かに。よくも悪くも一瞬で終わらせて注目を浴びることは出来たかもしれないが、話を聞いて集まった観客をまとめて持ってかれた感はある)


「まさかあの負債神があそこまで気合いを入れて戦闘をするとは.....」


カジノの力なのか、会った時からそれを餌に仕事をさせれば良かったななどと考えているとユウヤ達が戻ってくる。



「いつの間にあんな技思いついたんだ?かっこよかったぞ」


俺はユウヤの頭をクシャクシャすると、ユウヤは鍛冶町でのドラゴン戦で感じた射程の短さの克服と最後の俺の剣戟を真似たらしい。


(俺はそこまでカッコよく剣戟撃てないけどな)


子供の成長は早くて羨ましい。こう考える辺り歳をとったんだな。




「真さん約束覚えてますよね?」


ミラが話を割ってくる。


「あぁ。賞金の半分だよな。しっかり仕事してるしいいだろ」


ヨシッと拳を握る負債神。そこまでカジノをやりたいのか。




そしてこの日は一気にあと4戦を行うことにした。このランクならまず負けることはなさそうなので同じように戦闘を繰り広げる。



俺達のチームは瞬殺で、ユウヤ達のチームはド派手に。


そして5戦を終えてランクが上がる頃には、とんでもない2チームが参戦してきたとコロシアム全体の噂になっていた。




俺達は今日の報酬を貰いに換金所へ行く。


「今日の報酬貰いにきました」


お姉さんも噂は聞こえてるようで


「これが本日の報酬になります。オーナーのかたもあなた方を楽しみにしているということです。これからも頑張ってくださいね」


だそうだ。

目立つことでなにかコネが出来るかもしれないと思っていたので上々の初日だろう。


俺達は宿に戻ることにする。帰り道に色々な人達に何度も見られていたのはむず痒い感覚だ。

後ろを歩くユウヤとミラがコソコソとなにか相談している。

俺は視線を意識し過ぎてこの時気付かなかった。






次の日、目を覚ますと置き手紙がしてあるのに気づく。

周りを見るとユウヤとミラがすでにいない。


【用事があるので先にコロシアムに向かっています。ゆっくり来ていただいて結構ですよ。なんでしたらセツナさんとウフフなことしていてもいいですよ。

絶世の美女より】



(ウフフなことってなんだよ!というか悪い予感しかしないわ)


俺はセツナを起こそうとベッドを見る。


そこには色白くスラッと伸びた綺麗な足、キュッと引き締まったお腹も露わになっており、胸元も少しはだけて見えそうだ。



ウフフなこと.....。


いやいやダメだろ。


でも少しだけ見ててもバチには.....。


変な葛藤をしているとセツナが目を覚ます。


目が合うと不思議そうな顔でこちらを向き


「おはようございます?なにしてるんです?」


.....。


「おはよう。な、なんでもないぞ」





こうして俺達もコロシアムに向かうため準備に入る。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る