第12話

宿の庭に到着すると先ほど購入した実験道具一式を取り出し手頃な石の上に並べて準備をする。



さあ主役の薬草だ。今日の朝荷物になるから預かってて欲しいと宿のおばちゃんに預けてあるのでお礼をいいながら取りにいく。



『そういえばルナ様のところに運ばれた変な格好で倒れてたお兄さんよね?薬草大量だけどいまから刻むのかぃ?』

おばちゃんが世間話をするように喋りかけてきた。さすが村だけあって噂は早いな




そういえば薬草をどのように使用するかなど聞いていなかったことを思い出す。傷薬=塗るものとしていたが刻むという単語が出たということは飲み込むものなのだろうか?


『すいません。薬草を使用したことがないのですが基本的にどのように使用しているのですか?』



とても不思議がられたがおばちゃんは軽快に笑って『昨日の晩御飯にもサラダで食べていたでしょう?』と言われた。



おぉ〜刻まれてて気づかなかった。なるほど疲れやケガを内側から治すわけか!灯台元暗し!

確かに言われてみれば葉っぱを貼ったところで内側が治るわけないもんな



『それは気づかなかったです。ありがとうございます。実験やる前に聞けてよかったです。今日の晩御飯も美味しいお料理楽しみにしてますね』


『はいよ。なにやるか知らないけど気をつけな』



世間話を軽く切り上げ山盛りの薬草を持ち庭へ向かう。



よし。準備は整った。実験開始だ


まずは方向性だ

当初は塗り薬のようなイメージだったが口から含むとなると固形、液状、ペースト状、粉末状のどれかだろうな。

液状、ペースト状は腐る可能性があるからやめておくか。ケガが治って毒になったらシャレにならないしな

固形と粉末で行くか。

まずは時間のかかるであろう乾燥だ。宿から借りてきた塩を水で伸ばし薬草に軽く振りかけ天日干しする。さあしばらく待ちだな

その間に固形にトライだ適当な大きさにカットしすり潰し丸めて火で炒めてみる

ピンポン玉くらいのコロコロした丸薬ができた。よしサンプルAの完成だ



天日干しにはやはり時間がかかるな。




、、、。





所詮はいまは試作段階だ。7割ほど乾燥したところで次の工程に移る



手で少しボロボロになるのを確認しできる限りの粉末状にしてみる

よし!少しだけ水分があるが成果を見るには十分だろう。サンプルBだな




とりあえず思いつくサンプル2種が出来上がった。あとは試してみるだけだが問題は健康な状態だと効果が分かりにくいところか。


少し身体を鍛えるために筋トレをし疲れたところにサンプルを飲み回復の具合を見るか。疲労回復とケガの回復は違うとは思うが関係なくはないはずだしな



そうと決まれば腕立てだ!それい〜ち。に〜。さ〜ん、、、、、さ〜ん、じゅうぅぅ

はぁはぁこの歳だ腕立て30がかなりキツく感じるな、

そこで間髪入れずにサンプルAだ!

それポイッとな



、、、。(モグモグ)




うん。食べにくいピンポン玉は大きすぎたな。しかし噛んで見るとガリッとした歯ごたえの後に薬草のジューシーさなかなか悪くない

身体が温かくなったと思うと疲れがかなりとれた。どうやら回復効果は比べられそうだ。

うん。なかなか好感触だな





よし!このままサンプルBだ

まずは腕立てだ!それい〜ち、、、さん、じゅうぅぅ

ふぅふぅよしサンプルBだ

(サラサラ)

口に含む。



、、、。



口の中の水分がない。口と喉に張り付いてくる。即座に宿に入り水を流し込む。

ふぅ〜。死ぬところだった。これは改良の余地ありだなぁ

そんなことを思っていると疲れは全くないことに気づいた

なるほど。乾燥して圧縮しているぶん成分も凝縮されてる的な感じか




俺はサンプルA、Bを見比べる

Aはなかなか良好だ。大きさを小さくするくらいか

Bは効果は高いが色々問題ありだ


良いところを抜粋して作るか

ビー玉でも少し大きい感じがするのでビー玉よりBB弾くらいにしてみるか、粉末状にしたものをすり潰したものに混ぜギリギリボロボロにならない状態にして丸めて火にかける

そうして出来上がった完成品

名前はなんと名付けようか。一口食べるだけで元気回復か

うん!某龍玉アニメからセンズと名付けようか




よしあとは本番に使ってみるか





文無しだしな明日は依頼をこなしセンズのテストと弓、雷鞭も試しにいくか。

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