第9話

スキルを使えないことで少し考えたがせっかくルナさんと話しながら歩けるのだ。楽しみながら行くか。力んでいてもしょうがない。悩んでいてもしょうがない。いまやれることをやっていこう







しばらく2人で他愛もない会話をしながら道のりを歩いていると森が見えてきた。


『ここが目的地の薬草がとれる森になります。いまは日が昇っているので視界も悪くありませんし魔物にだけ注意を払いながら進んでいきましょう』



そうだな。急に魔物に襲われたら足が震えそうだしな。しかしルナさんだけ戦わせるわけにもいかない。勇気を振り絞って戦わなければ。例えそれが役に立たなくて邪魔なのだとしても男のプライドがある。注意を引いてルナさんにケガのないよう立ち回ろう


『はい。ご指導よろしくお願いします』ルナさんにそう伝えるとニッコリ笑って照れ臭そうに頷いてくれた。





薬草をルナさんが吟味して採取していく。なにやら質のいいものと悪いものがあるそうだ。質のいいものは悪いものに比べ効果が3倍ほど違うのだそうだ。依頼表には個数しかかかれていなかったがルナさん曰く少しでも効果の高いものを渡して依頼人が早く良くなってほしいとのことだ。惚れてしまいそうだ。いやすでにかなり惚れているけども。

俺もただ見てるわけにもいかない。質のいい薬草の見分けを教えてもらい採取していく。そのときふと思いついた。

(俺は治癒使いだが治癒魔法がいまのところ使えない。ならば薬草を常にたくさん持っていればパーティーメンバーが怪我しても対処できるぞ)

ルナさんにそのことを聞いてみると驚かれた。この世界では基本的に治癒魔法にてケガを治すらしく薬草などは荷物になるので持ち歩かないそうだ。

(確かに大きさは元の世界のほうれん草くらいだもんな。でも煮てしまえばかなりカサも減るし、さらにすり潰してぬり薬みたいなこととかはできないかな。よし帰ったらやってみるか)

などと思い気合いを入れてかなりの量を採取した。







そうして依頼量の5倍はあるであろう薬草をギルドで貰った道具袋にいれルナさんと一緒に森を抜けるため帰りの路に入る




すると前方の茂みが揺れた。

ルナさんが警戒すると同時に俺もすぐさま臨戦態勢に入る。

茂みから大きいネズミのような魔物が出てきた。

フラグ的に絶対くると思っていたので足が動く。ルナさんは止めようとしてくれたが勝手に動き出してしまった

そう思った瞬間一瞬でネズミの前に移動した

びっくりして目の前で止まってしまう

ネズミもあまりにも一瞬で目の前にきた俺に驚いたのかすぐさま逃げてしまった



そんな一連を見ていたルナさんは目を丸くし可愛く口を開けてこちらを見ていた



素早さだけで逃げてくれるやつでよかった。心底ホッとした。あの場で反撃してくるような魔物だったらと思うと足が少し震えてしまう。



なにはともあれ初戦闘を無事に切り抜けられた

俺が動かなかったらルナさんが倒してくれたであろうと思うと少しやってしまった感があるがまあよしだ!




その後魔物は出てくることもなく俺たちは無事に村に着くことができた。

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