第34話 ―最上への扉!?―☆

「マジか!こんなのは初めてだぜ!!」


「本当に、ありえんでござるな!!」


 店主と槍使い、それにみんなも驚いていた。最短ルートで8階についた。通路が整備されているという事ほど、素晴らしいものはない!


 が、それ以上に全員が、相当の覚悟で望んだ最上階への道だったが、店主の心配をよそに、怪物に遭遇する事が全く無かったのだ。

 

「すごーいぃ!ありえなーいぃ!!」


 もはや、奇跡だった!僧侶もテンションアップだ!!


「あいつが食ってたのかもな!」


 と、店主。


「きっとそうでござるよ!そして、逃げたミノタウルスが落ちて来たに違いないでござるよ!!」


 槍使いも興奮している。天空の塔の謎が少し解けた気がした。


 8階は普通の通路だった。僧侶のメイスも全く反応せず、店主たちはどんどん先に進めていた。


 するとなにやら、硫黄の匂いがした。


「これって?」


「まさかぁ!8階なのにぃ?」


 魔法使いと僧侶が目を合わせた。そして進んで行くと、目の前には……







 大温泉浴場があった。


「これは!どう見ても、温泉でござる!!」


 たまげる槍使い!広い浴場の真ん中に噴水があり、そこから温泉が湧いていた。そしてさらに凄いのが、見晴らしだった!


「すっごーい!!最高の眺めね」


 魔法使いの目がキラキラしている!!湯船に入り奥まで行けば、目の前には大自然を一望出来る大展望台になっていた。


「さあ!用意しなくっちゃ!!」


 魔法使いは入る気、満々だ!!!


「だがしかし、いったいどうやって温泉を?」


 店主は腕を組んで考えていた。


「誰かが、地下から湯路を作ったのでしょうか?」


「ああ、それしか考えられんな。でも、まずは毒があるかだ!」


 店主と弓使いが腕を組んで考えていると、見るともう僧侶がメイスを温泉に入れ調べていた。


「毒は無しぃ!病気の心配もないわぁ。湯温もちょうどいいわぁ!正真正銘の、にごり湯の温泉よぉ!」


 こっちも、目がキラキラしていた!!僧侶も入る気、満々だ!!!


「はーい!まずは姫方(ひめがた)から入りまーす!!!」


 魔法使いが言った。あっという間に、場を仕切られてしまった。まずは女たちから入る事になり、なので男たちは入り口の見張りにつく事になった。


――チャプン


「あっ!リリー、また大きくなったわね!」


「そういうエリーシャこそ」


「……」


「うん!大きいわ」


「エリーシャ、つかまないでよ///」


「……」


 魔法使いと女戦士が盛り上がる中、お嬢様は無言だ。


「お肌がぁ、ピチピチになりそうぉ!!」


 僧侶の声も響く!


 外にいる殿方(とのがた)には、二人が大きくなった事は分かった!


「てか、なんで僧侶が入ってるんだ?」


「理解できぬでござるよ!うらやまけしから…いや、げふんげふん」


「心は、乙女なんですよ」


 三人の目の前を、ヤモリが歩いていった。


「わーい!もんじゃえぇ!!」


「あっ!エリーシャ。そこはっ///」


「……」


「ほれほれ!」


「はぁっ!あっ、あぁぁあん///」


「……」


 魔法使いと女戦士はさらに盛り上がる。お嬢様は無言だ。


「お姫様ぁ、大丈夫よぉ!あたしだってぇ、胸無いんだからぁ」


「わらはより、凄い胸筋があるではないか!!」


 外にいる殿方(とのがた)には、僧侶の言葉より、ちっぱい事が分かった!


「そう言えば!ブレイストは、しまっているでござるか!?」


 槍使いが急に心配した!!


「そりゃ!ブラブラしてたら今頃、大変な騒ぎだろ!!」


 店主の言葉に弓使いは言った。


「……天然迷彩か!」


 そして、三人の目の前を、ムカデが歩いていく。


「しかしまさか、こうなるとは思いもしないでござるな!」


「ああ、温泉かあ」


「女性陣は、なんでああ、乗り気なんでしょうか?」


 三人は、さっぱり理解出来ない。


「分かった!」


「なんででござるか!?」


「バアさんだからだ!……わっ!!」




―――シュウウウウウン!!!


 その時、店主に弓使いの魔法の矢が飛んできたのだった!!




 今度は殿方の番になった。


「いい湯でござるな」


「本当に、まろやかで気持ちいいですね」


 槍使いと弓使いは気持ちよさそうだ。


「あちい、あちい、あちい!」


 店主は熱がりだった。


 外にいる姫方は、髪を拭いていた。


「ところでぇ、ラッキースケベは、狙ってるぅ」


 僧侶が言った。


「その事なんじゃが」


「どうやればいいの?」


 お嬢様と女戦士は、教えをこうた。


「とりあえず、胸のボタンを開けるのは?」


 魔法使いが言うと、お嬢様の目の前をゲジゲジが歩いていった。


「本当に、いい湯でござるな」


「段々、肌がすべすべになってきましたよ」


 槍使いと弓使いはくつろいでいる。


「あちい、あちい、あちい!」


 店主は我慢して付き合っていた。


 外にいる姫方は、ラッキースケベを研究していた。


「わらはが胸のボタンを外しても、その谷間が、じゃな……」モジモジ


「帰ったらやってみる!」


 お嬢様はガッカリ。女戦士はやる気満々だった。


「ほらぁ、ちっぱいの方がぁ、先っちょ見えてっぇ、超ラッキーかもよぉ!?」

 

 お嬢様に僧侶がフォローを入れた。


「あいつは、どっちが好きなんだろう?」


 魔法使いの目の前を、ゴミムシが歩いていった。


「鳥が飛んでるでござるな」


「本当ですね!あれは……」


 槍使いと弓使いは、まだまだくつろいでいた。


「あーーーー!あちいから、早く出ろよ、お前ら!!」


 店主が逆切れした!!


◇◇◇


「天空の塔、最後の扉。と、水晶には出てます」


 温泉でスッキリした魔法使いが言った。肌はツヤッツヤだ!


「扉の向こうは?」


 店主が聞く。


「それが、見えないのよ。少し不安だわ」


 目の前には背丈の二倍ほどの両開きの扉があった。


「メイスの反応は?」


「それがぁ、全くないのよねぇ、静かなのがぁ、逆にコワイわぁ!」


 扉の外がどうなっているのかは、全く分からなかった。覚悟を決めるしかないようだ。


「用意はいいか?では、アルベルト!閂(かんにき)をあけろ!」


「今、あけます!!」


「では、いくぞ!!」


 店主の右に槍使いがいた。開くと同時に、槍使いが中に槍を伸ばした。それにそうようにして、店主が扉の中に入ろうとした。


 そこには……




「「ジャック待って!」」


 女戦士とお嬢様が、店主に抱きついて止める。







 空中が待っていた!


「わっ!?」


 店主が驚く!上も下も、空だった。どこまでもどこまでも続く、青い空。


 でも、その違和感に僧侶が気づいた。


「コンゴウぅ!槍でぇ、下を叩いてみてぇ!!」


「こうでござるか?……ふんっ!!」


――キーン


 と、澄んだ音が響いた。鏡よりも鮮明な床だったのだ。


「ほらぁ、向こうの端の雲の形がぁ、上下で対称でしょぉ?」


 僧侶がメイスで遠くを指した。


「そうか!!」


 店主は槍使いが叩いた場所へ、一歩を踏み出した。ちゃんと床があり、自分が映っていた。


「すごーいのじゃ!!」


「綺麗」


 お嬢様と女戦士はため息をついた。どこまでも続く空の中に、みんなは居た。


「あっけないラストでござったな!天空の塔の最上階には、何もなかった!でござるよ!!」


 槍使いの言葉に店主は言った。


「いや、あるじゃないか!」


 お嬢様と女戦士がはしゃいでいる。二人して「こっち!」と手招きしている。


「何がでござる?」


「見たままさ!天空そのものの中に、俺達は立ってるんだぜ?」


「なるほど!だから……『天空の塔』って訳でござったか!!」


 槍使いは納得した。


「「早くー!!」」


 こうして、今まで謎であった天空の塔の秘密が分かったのであった。


「思ったんだけどぉ、ここってぇ







 古代の観光都市だったんじゃないの……か・し・らぁ?」


 僧侶はそう言ってテカッテカな、満面の笑みを浮かべたのだった。


【ステータス】


☆お嬢様

・黄色のヒモパン!


★女戦士

・黒のヒモパン!!


☆魔法使い

・パンツ履いてない!けど、勝負の生成りはポケットに!!


※あー!ステイタス変わんねー!!もう、ステータスいらない!?


つづく

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