第28話 ―最悪の塔③!?―
店主の一団は、最悪の塔にしない為に、絶えず気を配り、慎重に慎重に探索を続けていった。
遭遇した怪物は、マウスマン、コボルト、スライムの他は、ゴブリン、ゾンビなどがいた。 巨大生物も色々いて、巨大毒グモ、ムカデ、ヘビ、カエル、トカゲがいた。その中でも……
「ゾンビは気持ち悪いのじゃ!!」
ゾンビは塔で無くなった冒険者のなれの果てで、お嬢様的には、人の形を残している方が嫌悪感が増すようであった。
階を上がるごとに強さを増す怪物たちを倒しながら、そんなこんなで5階まで上がった。店主は、みんなに確認した。
「あと、2階上がれば公爵様の所だ」
前情報として、アインアルバート公爵が何階にいて、今はどんな状況かは、屋敷に行った時に分かっていた。鳩を使い、手紙でのやり取りをしていた。手紙の内容はこうだった。
宝物庫にたどり着いた。
魔法使いを沢山連れ、基本戦わず、ミノタウロスからも隠れて進んだ。
しかし、鼻の効く巨大なケルベロスに見つかってしまった!!
ドアから入いれる大きさでなく、ひと安心だが、ドアの前に居座られてしまった。
ケルベロスの居なくなった間に退却と思って、衛士たちを偵察に出したが戻って来ない。
30人で来たが今はその半分となってしまった。食料はあと2ヶ月は大丈夫だ。
現在、7階 の北側。
壁を叩いていたら、運良く継ぎ目を発見。
剣などで掘った所、鳩が通れる程の穴を作れたので伝書鳩を送る。
「二週間前に手紙を受け取りました。後は知っての通りです」
と、老執事が言っていた。
5階では死んだ冒険者が、スケルトンとして現れた。生前のスキルがあるのか?お嬢様にとては、なかなか手ごわかった。
なので、少しでも危険を感じると、店主や老執事が斬り伏せた。しかし基本、前衛の店主が、ほとんどを斬り倒し、残りを女戦士と槍使いが倒していった。
「本当に、最高の仲間ですな!店主殿」
老執事が連携の良さに関心していた。
まずは、僧侶のメイスが役に立つ。敵が近づくとメイスが小刻みに震えた。
魔法使いが水晶球で方向を確認。見えた所で、前衛の店主と女戦士の間から、小さな雷(いかずち)を出した。
それでも逃げずに、やってくると、店主と女戦士が相手した。鍔競(つばぜ)り合いになると、その時は槍使いが加勢した。
僧侶は出番がないと分かっていても、すぐに治癒出来るよう、常に祈祷(きとう)の用意をしていた。皆、それぞれが効率よく動いていた。
もちろん、弓使いもお嬢様を死守すべく背中を守っていた。
「ひとまずここまでだ!」
店主が言った。一度、休憩になった。みんなは、4階の第5ベースキャンプに戻った。その間、怪物たちがいなくなった通路の横道を、従者たちサポート隊がふさいでいった。
「所でエリーシャは、なぜ雷(いかずち)ばかりなのじゃ?」
休憩中、お嬢様は疑問に思った事を魔法使いに聞いた。もっと、バーンとやってしまえば!と、思ったのだ。
「ダンジョン内での戦いでは、魔法の使い方が難しいのです」
「そうなのか!例えばなんじゃ?」
お嬢様は興味深々だ!
「火が一番危険です。ダンジョン内で下手にやると、一気に空気が足りなくなったり、悪い空気を吸って気絶になります」
「足りない?吸って気絶?」
お嬢様はイメージが出来なかった。
「ダンジョン『あるある』でござるな!巨大ファイヤーボールなんて最悪でござるよ!放たれた後は、すぐにその場を離れるでござるよ!!」
槍使いが話しに入った。
「そうなのか!」
魔法使いの説明は続く。
「火は、周りの空気を吸います。密閉した場所の場合、空気が無くなり窒息死する事もあります。そして悪い空気も作り、吸うと気絶や最悪は死ぬ事も」
「なんとも火は、恐ろしいものなのじゃな!」
お嬢様は、火が燃える原理や、煙などの知識から理解した。
「水の魔法は、辺りが水浸しになる危険があります」
「なぜじゃ!水ぐらい。水浸しになるぐらいで平気じゃろ?」
「いえいえ!水が巻かれる事で、水にも天井にかかります。すると水に溶けてなんの病気が落ちてくるか分かりせん。ダンジョン内は清潔でないのです」
「なんと!そうなのか!?」
魔法使いは、うなずいた。
「では、少なくすればどうなのじゃ?」
「細く速く、水の矢や氷の矢ですね。でも水の危険はそれだけではないのです」
「???」
これまた、お嬢様はイメージ出来なかった。
「それは、またあとで話しましょう。説明を続けます」
きっと、話の流れがあるのじゃな。と、お嬢様は理解した。
「では、続きを頼む」
「土の魔法では、床が抜けてしまう事がありますし、水と同じく床や土にも、どんな病気が隠れているか分かりません」
「なら、風ならどうじゃ?」
「風についても同じです。清潔な空気ならいざ知らず。埃を巻き上げたが最後、病気を吸い込む事も!!」
魔法使いの話しに、お嬢様は思い出した。
『乾いているよりかはいいぞ!』
塔に入った頃、店主が言った言葉。
『ジメジメの方がまだ良いのは、そういう意味じゃっか!経験しないと分からない事だらけじゃ!!』
と、お嬢様は思った。
「むむむむむ、なんと!事にダンジョン内は、使える魔法がないではないか!!」
と、お嬢様は腕を組んだ。
「なんとも厄介な所じゃのう!ダンジョンとは!!なので、雷が一番よいのじゃな!!!」
そして、答えに至ったようだ。
「そうですね。経験から、小さな雷で空気も焼いた方が清潔で安全です。でも、大きな雷は空気を悪くもします。毒の空気を作るからです」
「なに!毒じゃと?」
毒で店主が思い出した。
「ああ、あれだ。カミナリの後の匂いだ。あれの濃いのを嗅ぎ続けると、病気になって死ぬ」
今までの、死んでいった仲間の経験を思い出した。
「さらに雷には制約があります。床が濡れていた場合、仲間が感電し最悪、死ぬ事もあるのです」
「友軍への誤射でござるな!」
魔法使いの話に、槍使いが合いの手を入れる。
「味方への攻撃。それは辛いものよのう」
と、お嬢様は深くうなずいた。
「なかなか難しいものよのう。なので、小さな雷じゃったのか!!」
お嬢様は、さらに納得したようだった。
「そうなのです。とにかく、魔法での攻撃では、前にいる者に当てぬようにしなければなりません」
「その通りじゃ」
「なので今回、私に託されるは、攻撃というより探索の方が主でしょう」
こうして、魔法使いの話は終わった。
「そしてぇ、あたしがぁ必要になる時はぁ、かなりヤバイ時ねぇ!!」
次に僧侶の話が始まった。
「どうゆう事じゃ?」
「治療を必要とする場合ぃ。それがぁ、うっかりならいいけどぉ。それ以外はぁ、そもそもが劣勢って事かなぁ!」
「劣勢とは?」
「怪我するのをぉ、込みでする戦いをぉ、ずっと出来ると思うぅ?」
僧侶が、美しい笑みを浮かべる。
「なるほど。怪我が込みの時点では、もはや負けておるのだな!危ないのう」
これもまた新しい知識だ!と、お嬢様は思った。
「……所で、治療とはどのくらいまで治せるのじゃ?」
僧侶は、お嬢様に近づき耳元で囁いた。
「蘇生もぉ、出来るわよぉ」
お嬢様は驚きつつも、囁いて返した。
「なんと、生き還えさせられるのか!?」
そんな夢のような話に、とにかく驚いた!!囁きは続く。
「でも、蘇生の話は内緒ようぉ
命と引き換え、だからぁ!」
そう言って僧侶は、お嬢様にウィンクをしたのだった。
【ステータス】
☆お嬢様
・黄色のヒモパン!
★女戦士
・黒のヒモパン!!
☆魔法使い
・パンツ履いてない!けど、勝負の生成りはポケットに!!
つづく
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