第27話 ―最適のパンツ!?―☆

「好きなパンツじゃと~?」


 お嬢様の声のテンションが上がった。


 ここは3階の大広間に作られた、第4ベースキャンプ。大広間にはいくつものテントが置かれていた。


 休息の時間、その中の一つで今!女子会が開かれていた。


「そうよぉ!好きなパンツよぉ!!」


 超美しい、でも実は男の僧侶がクネクネしながら言った。きっかけは僧侶の「好きなパンツはなんなのぉ?」の一言だった。


「私は、黒」


 女戦士がズバリ言う。それに釣られて形でお嬢様も言った。


「わらはは、黄色じゃな!」


 それらを聞いて、僧侶があきれた顔をして言った。


「違う違うぅ!ジェイちゃんの好みよぉ!ジェイちゃんのぉ!!」


「なっ!」


「なんじゃと!?」


 女戦士とお嬢様の二人は、ビックリして目を丸くしていた。


「もうぉ!二人ともしっかりしてよぉ~。ジェイちゃんの好きなパンツぅ!!それが二人の……







 勝負パンツよぉ!」


「「勝負パンツーーー!?」」


 そこに魔法使いがたたみかけた。


「二人とも、そういうの大切なのよ!男はね……







 目で欲情するのよ!」


「「目で欲情ーーー!?」」


 魔法使いの、お姉さん?な発言に、二人はビックリして、口をあけていた。


「そしてぇ、それをぉ」


「「それをーーー!?」」


 身を乗り出す二人!!


「チラってするのぉぉぉぉ!!」


「「えええっーーー!!!」」


 二人には刺激が強すぎたようだ。


『チラッとはなんじゃ!チラッとは!?』


 お嬢様の目がグルグルしている。


「でもぉ、これみよがしはダ~メっ!あくまで偶然よぉ偶然!これを巷(ちまた)でぇ、ラッキースケベって言うのよぉ!!」


「「ぐっ、偶然―――!?」」


『あざとい!あざとい!しかし、それが戦略か!?』


 女戦士の目が戦う目になる。


「まあぁ、とにもかく二人じゃ頼りにならないからぁ、いいわあたしがぁ、ジェイちゃんに聞いてきて……あ・げ・る!」


『『直接、聞く~!?』』


 と、二人は驚きつつも、嬉しそうに僧侶を見送ったのだった。


「所で、エリーシャのは何なんじゃ?」


 お嬢様は魔法使いの勝負パンツを尋ねた。


「私は履かないわよ!」


「えっ!?」


「ブラもしてないわ!!」


「ええっ!?」


「ちなみにブレイストも下着なしよ!!!」


「えええっ!?」


 お嬢様の目が丸くなる。


『と、いう事は僧侶の股の間は……』


 お嬢様は、柱時計の振り子を連想し、顔を真っ赤にした。魔法使いは、真面目な顔になって言った。


「魔術とか祈祷(きとう)は、この身一つが大切なのよ。本当なら裸が一番だけど、それだと、周りの殿方が集中出来ないわ。でしょ?」


「「確かに!!」」


 お嬢様と女戦士がハモる。


 でも、僧侶なら……と、二人は想像すると……


「「あっ!」」


 現場にさらにイケナイ空気が流れるのが分かり、納得だったのだった。


◇◇◇


 その頃、別のテントでは男子会が開かれていた。残念な事に、老執事は事務処理に終われ別テントだった。


「やっぱり、男は黙って褌(ふんどし)でござるよ」


 防具の話から、動きやすい服装になり、そして槍使いが下着の話をしていた。


「なにがいいんだ?」


 店主が真面目に尋ねた。


「キュッとなって、引き締まるでござるよ」


「本当か!?」


 意外と店主は、新しもの好き!だった。


「褌とは、こちらで言う所の、紐(ひも)付きのパンツという事ですか?」


 と、弓使い。


「そうでござるな!確かに紐付きパンツでござるよ!!新しいのあるから、お二人、履いてみるでござるか?」


「ああ!!」


 店主は嬉しそうに言った。弓使いは首を振って遠慮した。


 店主は槍使いから褌を受け取ると褌のつけ方を習った。


「まずは、布を後ろしするでござる」


「こうか!」


「そしたら、紐を前に持って来て結ぶでござる」


「なるほど!」


「で、結んだ所に、下から布を引っ張って……出来上がりでござる!」


 店主は褌姿になった。それから、いつも通りにズボンを履いた。


「おお!本当だ!!キュッと、なるなあ!」


「そうで、ござろう!!」


「俺もこれ、好きになりそうだな!!どうだ?アルベルトも?」


 ニコニコしながら、改めて弓使いを誘う店主。


「いやあ、僕は……」


 そこに、僧侶が現れた。


「僕は普通のパンツが好みなんです」


 弓使いの話を聞いて僧侶のテンションが上がる。


『ええっ!!なんてタイムリーなのぉぉぉぉ!!』


 瞬時に状況を把握!僧侶は、すぐさま攻撃に移った。まずは、距離の近いほう!!


「アルちゃんはぁ、普通のパンツが好きなのぉ?色はぁ??」


「生成りかな?」


 普通に答える弓使い。


『いい感じの流れだわぁ、はーーーーんっ!これは行けるぅぅぅぅ!!』


 僧侶の情報収集は続く。


「じゃあぁ、ジェイちゃんはぁ、どんなパンツ好きぃ?」

 

「あっ、拙者(せっしゃ)は、ふんど」


「あんたの事は、知ってるわよぉおおおお!!」


 怒鳴られる槍使い。


「……でぇ、ジェイちゃんはぁ?」


『いっっけーーーあたしの攻撃ぃぃぃぃ!!!』


 僧侶の目がキラン!と、光る。


「ああ、俺か?俺が今、気になっているのは、紐付きパンツだ!東洋の」


「へえぇ、そうなんだぁ!」


『やったわぁ!!やったぁ!みんな、あたし、やったわぁぁぁぁぁ!!!』


 任務終了!戦果大!!これより帰投する!!!


 僧侶は心の中で、ガッツポーズをしたまま、キラキラと舞い踊っていたのだった。


◇◇◇


「聞いてきたわよぉーーーーん!!」


 僧侶がテントに帰って来た!


「「本当か!?」」


 お嬢様と女戦士は互いに目を合わせ、両手を合わせていた!……奇跡だ!!


「ジェイちゃんの好きなぁ、パンツはぁ~、はーーーーーんっ!!」


 僧侶はもう!テンションマックスだ!!


「「早くーーーーっ!!」」


 待ちきれない二人!


「まあまあ、落ち着いてぇ!よく聞くのよぉ。ジェイちゃんのぉ、好きなパンツはぁーーー!!!







 紐付きよ」


「「キャーーーーーー!!!!」」


 二人は、抱きしめあっていた!……二度目の奇跡だ!!


「ブレイスト。ちょっと、いいかしら」


 魔法使いは、僧侶を手招きしテントの端へ連れて行った。


「ぬわぁ、にぃ?エリーシャ~ぁ!?」


 分かっているくせに、じらして言う僧侶!


「コホン!あっ、アルベルトの事だけど……」


「分かってるわよぉ!大切な弓使いちゃんのもぉ、もちろん聞いておいたわよぉー!!」


「ありがと///」


 ごにょごにょごにょ……


「///」


◇◇◇


「ハクシュン!」


「風邪でござるか?よい煎じ薬が、あるでござるよ?」


「いや大丈夫だ。これはきっと誰かが、俺の噂をしている気がする!!」


 そう店主は、確信していた。


 そうそう、深夜。帝国から超高速配達にて物資が届けられた。それは沢山の紐付きの、黄色と黒のパンツ、そして生成りの普通のパンツであった。


 が、届いたその事を知るのは……







 女子のみ?ぞだった!


【ステータス】


☆お嬢様

・勝負の黄色の紐パン!


★女戦士

・勝負の黒の紐パン!!


☆魔法使い

・ノーブラ

・パンツ履いてない!けど、勝負の生成り!!


つづく

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