第29話 ―最強の男技!?―

 ベースキャンプにて、食事も終え寝る前のひと時……




 男たちは盛り上がっていた!


 そう、まさに男による男のための、『男の会話』に!!




「てか、なんでここにブレイストがいるでござるか!?」


 槍使いはイジワルそうに、チョー!美女に見える男の僧侶に言った。


「そんなぁイジワルをぉ、言わないでよぉ!!」


 僧侶の両腕が伸びる!抱きつくのか!と、思いきや。


「イタタタ!!すまぬ!すまぬでござる~!!!」


 クネクネしながら、槍使いのこめかみをグリグリした。でも、やっぱり美人だ!


「でぇ、一体ぃ何を話していたのぉ?」


「ああ、格闘の時の急所の守り方だ!」


 と、店主は言った。


「まあ!タマタマちゃんね!!」


 僧侶の目が光った!!グリグリされたままの槍使いが説明した。


「で、とっさの時は、手や足でガードするとして、戦闘に入る前なら、どんな対応方法があるという話で盛り上がったでござる、って、痛いでござる!離すでござる~!!」


「もう!仕方ないわねぇ」


 やっと離してもらった槍使いは、こめかみをおさえて涙目になっていた。


「対応方法ぉ?あれの事ぉ?金的カップぅ~?」


 僧侶は祈祷以外にも、素手での格闘術において、ずば抜けて優れていたので興味深々だ。


「ああ、木製のカップとか、金属製のとかあるだろ?」


 店主が言うと、僧侶は顔をしかめた。


「それねぇ、でもぉ金属だと悲惨よぉ!衝撃でつぶれたがぁ、最後なのよぉ!!」


 僧侶の目が怖い!!


「まっ、マジでござるか!?」


 槍使いの股間が、ヒュンとした。


「だからぁ、もし使うならぁ木製がお勧めねぇ!衝撃でぇ、割れてくれるからぁ!!」


 なるほど!と、店主たちは思った。


「でもぉ、もっといい方法がぁあるわよぉ!!」


「なんで、ござるか?」


「玉をぉ……」


「玉を?」







「収納するのよぉ!!」


 一瞬の沈黙……







「マジでござるか!?」


「本当ですか!?そんな事が出来るのですか!?」


 槍使いと弓使いは、物凄く疑いの目で僧侶を見ていた。


 いたのだが……




「すげー!ブレイスト!教えてくれ!!」


 店主は、この話に飛びついていた。こういう新しい事に、店主は目がないのだ!!


「寺院で習ったんだけどぉ、下腹の力を入れると、キュッと上がってくるでしょ?」


「ああ、上がるな!」


「上がるでござる!」


「……」


 みんな、ズボンの中に手を入れ確認していた。


「そのまま、手で押し込めば……入るの分かる?」


「えっ!入る?」


「そうよ!股間の骨の隙間に!!ちゃんと、玉を収納出来るスペースがあるのよぉ!!」


「あっ!本当です、入りました!!」


 弓使いが、本当に収納が出来た事に驚いていた!!


「でしょぉ!!」


 僧侶はドヤ顔だ!


「なんでもぉ、大昔の寒い時の名残なんだってぇ。それでぇ体の中にはぁ、収納する仕組みがあるそうよぉ」


「凄い仕組みだな!知らなかった。……あっ!入った」


 店主も、収納出来た!!


「何年もこの体に付き合ってたでござるが、驚きでござる!!あっ!拙者も入っ……らんでござるよ!!」


「あんたはぁ、玉がでかすぎるのよぉおお!!」


 僧侶に言われ、ややしょぼんな槍使い。


「まさにぃ、神のなせる業(わざ)だわぁ!」


 僧侶の目が、キラキラと輝いていた。


 おい!そんなの神のおかげにすんなよ!!と、みんなは思ったが、心にしまっていた。


「慣れればぁ、下腹に力を入れるだけでぇ、出し入れできるのよぉおおお!!!」


「スゲーな!!これは金的対策にバッチリだ!!奥義だな!!!」


 店主は大絶賛だった。


 これに気分を良くした僧侶は、長い服のすそを持つと……




「だからぁ、私はほらぁ!」


 めくり上げた!!


「なんと!」


「綺麗に無いでござる!!」


「……」カンベンシテ


 僧侶の股間には、黒いギャランドゥ以外なにも……無かった。


「おい!ホースはどうした?」


「そうでござる!今朝も見たホースが無いでござる!!」


「……」コイツラヘンタイ?


 槍使いは朝にトイレで見た、僧侶の長いホースを思い出していた。


「毎回、思うでござるが、悔しいでござる……」


――ポンポン


 まあまあと、店主は槍使いの肩を叩いた。


「ホースはぁ、お尻にぃ挟んでるのぉおお!!」


 クルンと後ろを向いた!


「でもぉ、後ろもぉバッチシよぉ!」


 ちゃんと、隠れていた!


「マジか!スゲー!!マジスゲー!ブレイスト!!!」


 見事なカモフラージュに、店主は大喜びだった。


「天然の迷彩でござるな!」


 槍使いは大笑いだった。


「……」


 ああ、こういう所さえなければ。うう、尊敬する人なのに……弓使いは店主にちょっと失望した。


「てか!もう寝るぞ!!明日に差し障りが出てはまずい!!!」


 店主が嬉しそうに叫んだ。


「一番、楽しんでたクセにぃ!!」


 僧侶は大笑いした。


 たまには、こんな一瞬があってもいいか!と、思った店主。


 たまには良いでござるなあ!こんなバカ話!?と、思った槍使い。


 たまには楽しかった!と、皆さんは思っているのでしょうか?……と、思った弓使いは、さらに思った……




 玉だけに。


 あっ!僕も毒されていく、ううっ……


 と、焦った弓使いなのであったのだった。


つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る