第22話 ―最高の仲間②!?―

「僕も、連れて行って下さいーーー!!!」


 弓使いも、店主に負けじと大声を張り上げた。にらむ店主に、意思を通そうとする弓使い。


「まあ二人ともぉ、すんごい声ねぇ!耳が痛くなっちゃうわぁ」


 僧侶は空気を和らげようと、クネクネしながらみんなに言った。美人なだけに妙に面白い。


 槍使いなんかは、クックックと、笑っている。


 お嬢様は、その様子をみて、笑いそうになるのをこらえながら言った。


「ぷっ。ところで何故、ダメなのじゃ?」


 店主は険しい表情で、お嬢様に答えた。


「確かに魔法の矢は、アルベルトの意のままに飛ぶから、隠れた敵さえも倒す事が出来る。魔法使いの探知と合わせれば、敵に近づかなくても、ほぼ倒せる」


「そうよ、私とアルベルトが居れば!」


 魔法使いは、お嬢様にニッコリと笑う。ちょっと意味深だ。だが、お嬢様はそれ以上に気になる事があった。


『とても美しい笑顔だ。本当に、老執事と同じ年なのだろうか!?信じられんのじゃ!!』


 と、お嬢様は思いつつ、店主に向き合った。


「では、リリーが言ってた通り、最強ではないか!?」


「だからロニー、最強などこの世にないんだ。いいか?アルベルトは命と引き換えに、それを行っているんだ。いつ魔力も命も、無くなるか分からないんだぞ!!寿命と引き換えだ!!」


 お嬢様は、ビクッとした。


「ジェイちゃん!!可愛いお姫様が、ビックリしちゃっているわよん!まあまあ、落ちついてぇ。優しく優しくぅ~!!」


 長いまつげと、優しい眼差し。いったい僧侶は、どこまで本気で、どこまで冗談なのか?その表情からは読み取れなかったが、でもそのおかげで、その場が少しなごんだ。


『僧侶はブレイストと言ったか?こやつは本当に美しいのお。女のわらはが悔しくなるほどじゃ!全く、男なのが信じられん!!』


 お嬢様がそう思って見ていると、弓使いが店主に食い下がった!!


「それでも!ジャックの為に行く。いや、ダメって言われても僕は、付いて行くから!」


 弓使いは、決して引き下がらない。そうまでして、ついて行きたい理由が弓使いを突き動かしていた。


 僧侶も魔法使いも女戦士も、長い付き合いなので、この弓使いの事は知っていた。だからあとは、隊長の店主の判断を待つしかなかった。


 とは言っても、このまま話していても、埒(らち)があかかないので、店主としては少しでも先へ行こうと、弓使いを無視して馬をゆっくり進めた。


 皆、店主に続いた。後から、弓使いがついて来た。お嬢様は、そろそろと店主に近づいた。


「済まないが、わらはは弓使いの事を知らぬ。だから、もっと弓使いの事を教えてはくれぬか?」


「……」


 その言葉に店主は、ちょっとしてから答えた。


「分かった話そう」


「それは助かるぞ!」


 そう言ってくれた店主に、お嬢様は少し嬉しくなった。僧侶も魔法使いも、槍使いも女戦士も、二人を見守っていた。


「アルベルトの弓は俺が作った。奴の膨大な魔力を束ねられるように。結果、奴が矢をイメージすれば、目の前に無数の矢が並ぶようになった。そしてそれが盾にもなった」


 お嬢様は、その様子を想像した。


「凄そうなものじゃな!」


「ああ、そして放たれた思念の矢は、的を追いかけ飛んでいく。それは、隠れようが、曲がり角であろうが、矢が方向を自在に変えて飛ぶ。一度放った矢は決して外す事はない」


「では、狙われたが最期じゃな!?」


「ああ、最期だ!」


 店主は遠くを見ながら言った。


「所で矢は、どこまで飛ぶのじゃ?」


「望めば、弓使いの精神が果てるまでの、遥か彼方の地平まで飛ぶ。それは超極大の射程だ。そんな盾付き弓の使い手。それがアルベルトだ」


 そう説明していると、弓使いが間に入って来た!


「僕は出来の悪い魔法使いで!魔法力はあっても、魔術が出来きませんでした。何をやっても暴走してしまうんです!!」


 馬を並走させた。その様子を心配そうに見つめる、魔法使いと僧侶。


 特に魔法使いは、なんとも切なそうに弓使いを見ていた。


「大爆発に、大暴風、地盤沈下。魔法力をコントロール出来なくて、相手だけでなく味方も巻き込んでしまって……」


 弓使いは遠い目をした。


「でもそんな時、ジャックに出会ったんです。ジャックが作ってくれた弓が、僕に人生を用意してくれました!!だから、お願いです!!」


 弓使いは懇願した。


「僕を、僕を連れて行って下さい!!僕の命を、ジャックと共に!!!」


 その弓使いの言葉を、店主はとても渋い表情で聞いていた。そのまま、時間が過ぎていった。


 その時、老執事が動いた。


「差し出がましいでしょうが、どうかこの場はひとまず、一緒に行くのはどうでしょうか?」


 老執事が気を使って、店主に提案してくれたのだ。


「ふうー」


 ためていた息を吐く店主。いつまでも判断を延ばす事は出来ないと、店主は思った。


「分かった」


 店主の判断が下った。


「じゃあ、アルベルト。ひとまずは着いて来い……




 はっ!!」


 そう言うと、店主は馬を走らせたのだった。


【ステータス】


☆お嬢様

・金髪ツインテール、細リボン赤

・最高の両手剣、鎖からびら、鉄の胸当て、革の腕当て、革のブーツ

・真紅のパンツ


★女戦士

・黒髪ロングストレート

・最高の剣(詳細不明)

・ミスリス鎧一式

・赤マント

・黒の下着上下


☆魔法使い

・肩ソバージュ茶

・杖

・水晶球

・黒のマント

・黒いスリップ

・パンツ秘密!!


※うーん!しばらくは移動だけだから、パンツだけの記述でいいか!?


つづく

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